一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

間宮兄弟

私的評価★★★★★★★☆☆☆

間宮兄弟(通常版) [DVD]

 (2006日本)

 何かを成し遂げるには短すぎる。何もせずに過ごすには長すぎる。---何をして過ごしても一生だけどね…

 兄・明信と弟・徹信の間宮兄弟。2人でマンション暮らし。平日の夜はテレビの前に仲良く並び、一緒にベイスターズの試合で盛り上がり、借りてきたDVDで感涙に咽ぶ。休日は一緒に散歩して餃子を食べに出かけ、行きつけの薬局で健康チェック。雑学や薀蓄にあふれた会話で、部屋には壁いっぱいの本棚、新幹線の模型やボトルキャップなどのコレクターズ・アイテムがごろごろと…間宮兄弟じゃなくてマニア兄弟だねと言われる。


 40前後のいい大人の男どもが、少年時代のまんまに仲良く暮らしている。少年時代のまんま、好きなことだけに耽って暮らしている。ホントにこのままでイイのかな? 兄思いの弟は部屋でカレーパーティを開催し、職場の小学校教師で、なぜかみんなにいつもフルネーム+先生付きで呼ばれている葛原依子先生(常盤貴子さん)と行きつけのビデオショップ店員で兄の大のお気に入りの直美(沢尻エリカさん)を誘います。しかし、ふたりにはそれぞれ恋人がいて…。

 いい人なんだけど…ただそれだけ。結婚したらいい夫になれそうだけど、恋人としては何か物足りない。たぶん、そんな感じのふたり。結局、誰ともとりあえず「友だち」を越えた関係には進展しそうにない。

 そんなふたりの生活とは無関係に、彼らの周囲の人間の「ありふれた」時間は流れていく。ある意味、俗世間と接点を持ちながら、俗世間のドロドロした雑事とは寄り添えないふたりの生活。いいのか? それで。本当にそれでいいのか? 変わらなくって、本当にいいのか? 本当にいいんだったら、いいかもな…。

 あまりにも自分の現在と被る部分が多すぎて、かといってそれでイイとは思っていない自分には、決してこの緩々の映画を手放しで笑いきれない、そこはかとないペーソスを感じずにはいられない、そんな映画です。

 クレジットのあとに待ち構えていた衝撃のラストは…必要だったのか?(苦)

●監督:森田芳光 ●原作:江國香織(小説「間宮兄弟」)