一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ゴジラ2000 ミレニアム

私的評価★★★☆☆☆☆☆☆☆

ゴジラ2000~ミレニアム~ [DVD]

 (1999日本)

 平成ガメラ3部作は、特撮におけるミニチュアの撮影とCGの合成で、平成ゴジラシリーズにずいぶん差をつけた印象がありました。平成ゴジラシリーズでも、徐々にCGを取り入れてはいましたが、まだ手探りの感が否めないレベルだったと思います。ガメラシリーズとゴジラシリーズでは、根本的に特撮の見せ方自体が、違うのでしょう。どう違うのかはよく分かりませんが、ガメラは街のミニチュアの見せ方が、とても洗練されている印象を受けました。ぱっと見、ミニチュアと気づかないような見せ方を工夫しているのです。テレビカメラを通した映像で、走査線の中にミニチュアを埋もれさせてみたり、アップでも固定カメラでじっくり見せると、自然光のような照明とあいまって、ごくふつうの街の光景に見えてくるから不思議です。

 それにしても、平成ゴジラシリーズ最終作“ゴジラvsデストロイア”では、ビルの鏡面に映る飛空するデストロイアの影ぐらいしかCGの見せ場がなかったのに、ミレニアムゴジラシリーズでは、思い切りCGを使い殴ってます。しかし、同年の“ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒”に比べて、かなり負けていると思うのですが、どうでしょう? ボクが一番許せなかったのは、海から上陸してくるゴジラが、砂浜を歩いてくるシーンの、あまりにも重量感に欠けるCGです。よく3DポリゴンCGのレースゲームで、走行する車のタイヤが地に着いてない感じ(最近はもはやこんなゲームはないのかな?)って、ありましたよね。あんな感じで、砂浜に足がめり込んで歩いてくるのに、重量感がまったくないんですよね。宙に浮いて足を動かしている感じにしか見えないんですよ。これは失敗だと思うんです。それでも、CGを取り入れて見せようという、意欲は認めるべきなんでしょうか? 日本の特撮の素晴らしさは、ハリウッド映画の「なんもかんもCG」とは一線を画す「着ぐるみ操演」と光学合成だと思うので、その意味では、CG使いすぎ、ですね。

 ストーリーは、まあまあです。ゴジラシリーズ常連の村田雄浩さんが、根室ゴジラと遭遇する冒頭のシーンは、この作品の一番の見どころかも知れません。宇宙怪獣オルガは、ボクは、あまり感心しないです。登場する必然性が分からないし、宇宙怪獣という設定が、ゴジラ映画を漫画的にしてしまうような気がしてなりません。本来、ゴジラ映画は、ゴジラの敵怪獣が出てきても、基本はゴジラの脅威と、人間の知恵の勝負が見どころのはずです。クライマックスの阿部寛さんの過剰な演技も見ていてちょっとうんざりですし、ラストはちょっと人間としては悲観的な結末ですし。ゴジラの脅威が4年ぶりに復活したことをアピールしたかったのでしょうけど、ちょっと、ねぇ…。

 ところで、ミレニアムゴジラは、正面の顔が、無茶苦茶ブサイクだと思いませんか? 正面から見た首の左右に見える縫い目のような模様も好きになれないし、特に、目、かな? 凶悪さがないよねぇ…。横顔はそこそこゴジラらしいと思うんだけど、なんで正面になるとあんなブサイクになってまったんやろ? あ、あと、硬そうな背びれのデフォルメの効いた突起もイヤです。本作以降、少しずつ改良は加えられているようではあるんですけどね。

 ついでに、東宝さん。人気作のDVDの価格が6,000円(特典ディスクが別に付いてくると10,000円)という設定は許せません。映画で散々儲けておきながら、DVDでもボッタくるのは、他のメーカーが安くしていこうとしている昨今の傾向を見ても、いかがなものかと。この作品は、この内容で税別10,000円は、詐欺だと思いましたよ、正直な感想。せいぜい2,500円だな。買うつもりの人がいたら、やめておきなさい、と、ボクなら言います。

●監督:大河原孝夫 ●脚本:柏原寛司三村渉 ●特技:江口憲一/村川聡