一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS

私的評価★★★★★★★☆☆☆

ゴジラ×モスラ×メカゴジラ東京SOS 【60周年記念版】 [DVD]

 (2003日本)

 オープニングの戦闘機とモスラの接近遭遇は、かなりスペクタクルで、今までに描写されたどのモスラよりも、かっこいいCG合成映像になってます。最近の特撮映画で感心するのが、羽を持った生物の飛翔するさまが、とてもしなやかで生物らしくなっていることです。硬いドアみたいな羽がバタバタする昔の特撮とはずいぶん進化したものだなぁ、と思うのです。

 さて、今回は戦う女性自衛官は脇役ですが、吉岡美穂さんが、新任の機龍隊のひとりで出てきます。彼女は、セリフは棒読みになりがちですし、はっきり言って、演技はヘタだと思います。ヘタだとは思いますが、本作では、それなりになかなかがんばっているな、と思いました。CM同様、好感が持てますね。

 で、今回の主役は、機龍の整備士、中條義人で、金子昇さんが演じています。戦隊モノの主役だったんですか? 戦隊モノはゴレンジャー以外見たことないので、よく分かりません。ですが、安心してみていられる、しっかりした演技です。いい俳優さんですね。

 ストーリーは、小美人(長澤まさみさん・大塚ちひろさん)が、「ゴジラの骨を海に返してください」と人間にお願いにくるシーンから始まります。どうやら、生命を自然のライフサイクルの中に戻し、人間が神の領域に触れてはならない、というのがテーマのようです。ずいぶん大きなテーマですね。しかし、相変わらず90分はドラマを描くには短いのです。胸の中が熱くこみ上げてくるすばらしい演出とストーリーの中に、いくつか首を傾げたくなるシーンがあるのです。小美人はなぜ機龍の修理に向かう中條を助けてやったのか? 中條は、機龍のいったいどういう気持ちを察して、涙を流したのか? まったくテーマは胸に響いてきません。響いてきませんが、クライマックスのバトルは、またもや、かぁーっと熱くなって、感涙に咽びました。ほとんどスポ根のノリですけどね。

 人間ドラマは、薄っぺらな印象は拭えませんが、特撮はかなり満足のいく映像てんこ盛りです。特典ディスクのメイキングでさらに堪能できます。東宝の人気怪獣モスラまで登場して、これだけすばらしい特撮映像まで見せてくれたのに、ゴジラシリーズの休止は納得いかんですねぇ。残念。

 ところで、倉敷保雄さんが、打ち上げられたカメーバの死骸をテレビ中継するアナウンサーの役で登場します。声にしか馴染みがないのですが、サッカーファンにはちょっと嬉しい小ネタです。

 ついでに、特典ディスクの“モスラの唄”のプロモーションビデオの振り付け、かなり見ていて恥ずかしいです。子ども向けですか?

 映像にばかりこだわってしまって、音のことが疎かになっていました。ミレニアムゴジラシリーズの大島ミチルさんの音楽、すばらしい緊迫感を演出していて、グッドです。特典ディスクのレコーディング風景の映像で堪能させていただきました。

●監督:手塚昌明 ●脚本:手塚昌明/横谷昌宏 ●特技:江口憲一