一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ゴジラ モスラ キングギドラ大怪獣総攻撃

私的評価★★★★★★★★☆☆

ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃 [DVD]

 (2001日本)

 平成ガメラシリーズの金子修介監督のメガホンです。

 本作はミレニアムシリーズとはまったく異なる作品で、ゴジラの造形もまったくオリジナルです。劇場で見たときは、怪獣の造形のすばらしさに、身震いしました。ゴジラの目が白い!------動物的な愛らしさを表してしまう眼を白くすることで、人間の敵でありながらファンに愛されるゴジラを、本来の凶悪で憎むべき相手として敵視してもらうことを狙ったそうです。また、バラゴンは、女性のスーツアクターの方が演じています。ゴジラとの大きさの対比を考えたとき、小柄な女性の方が向いていると判断したからだそうですが、さらに金子監督は、四足歩行する怪獣は「膝を着くべからず」という注文を出して、より生物的なリアリティを追求したようです。撮影大変だったでしょうね。

 ゴジラの清水港上陸から清水市破壊、そして東進のくだりは、圧巻です。ネタバレは面白くないので詳しくは書きませんが、ゴジラに襲われて怪我で病院に収容されていた少女(篠原ともえさん)が、骨折した脚を吊っていたため、ゴジラの上陸から逃げ遅れ、病室の窓に迫りくるゴジラに恐怖するシーンには、劇場でも心臓をギュッと掴まれるような怖さを感じました。さすが金子監督です。こういう「恐怖」の演出は、最高にうまいと思います。

 ストーリーもオリジナリティにあふれており、ゴジラの発生した理由を、シリーズのどの作品ともまったく無関係に、独自に解釈して提示しています。そして、バラゴン・モスラキングギドラの人気怪獣も、民間伝説「護国聖獣伝記」の3大聖獣として登場させています。人間ドラマとしては、防衛軍(自衛隊ではないですね)の立花准将(宇崎竜堂さん)と怪しげなオカルト番組の制作をする衛星放送のスタッフ立花由里(新山千春さん)の親子愛が中心だと思います。最近の特撮映画のドラマとしては、けっこういい線いってると思います。ミレニアムシリーズよりやや長い105分という時間も、ドラマを分厚く見せる要因になっているかな?

 さて、金子監督がゴジラのメガホンを取ったことで、怪獣映画マニアの間では、50周年記念作は待望の「東宝大映のコラボレーションではないのか」と、大いに盛り上がりましたが、残念ながら、そんなうまい話はありませんでした。都心のビルの高層化に合わせて、いったんは100メートルにまで成長してしまったゴジラを、ミレニアムシリーズで55メートルに縮めたときに、「ガメラとの対戦を想定したリサイズなのではないか?」と話題になっていただけに、特撮ファンのがっかりした溜息が聞こえてくるようです。しかし、初代ガメラは60メートルだったけど、平成ガメラは80メートルにまで大きくなっているので、もともと対戦のためのリサイズの必要はなかったような気がします。それでも、GG決戦は、世界中の特撮映画ファンが待ち望んでいることでしょうね。もし実現した場合、勝敗は…痛み分けってとこかな?

●監督:金子修介 ●脚本:長谷川圭一/横谷昌宏/金子修介