一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

100発100中

私的評価★★★★★★★★☆☆

100発100中LD

 (1965日本)

 脚本に都筑道夫センセーが加わってらっしゃいます。ボクが尊敬してやまないミステリー作家で、脚本家で、編集者で、雑学博士でいらっしゃいました。都筑センセーは、2003年11月27日に74歳で亡くなられました。残念でなりません。

 さて、都筑センセーは、たいへんエンターテインメントに長けた作家だったと勝手に評価しております。本作もたいへん脚本がおもしろいと思うのです。この作品が撮られた時代の表現を借りれば、「痛快娯楽映画」ですね。

 アンドリュー星野(宝田明さん)、通称アンディと名乗るフランス人3世の男が東京へやってきます。羽田に降り立った彼の前で、銃の密売を行う謎の中国人黄昌齢(多々良純さん)が、手荷物に忍ばせた黄色い煙幕を発生させ、空港から脱兎のごとく飛び出し、反射的にアンディは黄昌齢のあとを追いかけますが、車で逃げられてしまいます。そこへヘルプに現れたのが真っ赤なスポーツクーペ(トヨタ・コロナかな?)を駆る沢田ユミ(浜美枝さん)。実は彼女は爆弾を操る女殺し屋で、黄昌齢が密売銃の売り込みにいく赤月組に雇われていたのでした。そうとは知らず、アンディは彼女の車に乗り込み、眠り薬を仕込まれたタバコであっさりと拉致されてしまいます。そして空港では、赤月組の対抗組織である青沼組に雇われている殺し屋の小森(平田昭彦さん)が、アンディの行動を見ていました。赤月組のアジトに連れ込まれたアンディを助けに、東京警視庁の手塚部長刑事(有島一郎さん)が現れます。手塚はアンディが、国際的な銃密輸事件を追ってパリから来た国際警察の刑事だと、その身分を明かします。しかし、手塚も背後から一撃を食らって、あっさりと拉致されてしまいます。このあと、赤月組と青沼組の抗争を経て、国際的銃密輸事件の舞台はマニラへ…。


 宝田明さんが、かなり軽いノリでアンディを演じています。有島一郎さんや浜美枝さんらとの掛け合いも軽妙で楽しく、作品のテンポもいい感じで、その上、ストーリーにはアッと驚く仕掛けも用意されていて、大満足です。

 007シリーズの公開に触発されて撮られた作品だと聞いていますが、よくルパン三世に似ているとも言われる本作です。アンドリュー星野=ルパン、沢田ユミ=峰富士子、手塚部長刑事=銭形警部という登場人物の対比、タイトルの「発」の字に仕込まれた薬莢付きの銃弾など、確かに類似点は多いと思います。この作品の方が古いので、モンキー・パンチ先生に影響を与えたのでしょうかね?

 余談ですが、先ごろ上映された「ゴジラ・ファイナルウォーズ」に出演なさった宝田明さんの「昔は百発百中の男と言われたんだ」というセリフで、一部の邦画ファンの爆笑を誘ったらしいですが、若い方には意味不明だったようです。当たり前ですね。

●監督:福田純 ●脚本:都筑道夫岡本喜八