一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

スペーストラベラーズ

私的評価★★★☆☆☆☆☆☆☆

スペーストラベラーズ [DVD]

 (2000日本)

 閉店間際のコスモ銀行に、銃を持った3人組の強盗が…彼らは同じ孤児院で兄弟のように育った保(金城武さん)、誠(安藤政信さん)、功(池内博之さん)。夢見ていた南の島の楽園を目指す資金を調達しにやってきた3人でしたが、彼らの目論みはみごと外れ、ロビーに残っていた4人の客と2人の行員を人質にとって行内に立て籠もるはめに陥ってしまいます。やがて警官隊に囲まれた3人は6人の人質と共感・連帯し、人気アニメ「スペーストラベラーズ」のキャラに自分たちを重ね合わせ、本格的犯罪組織であることを警官隊に宣言しました…。

 これ、コメディですか? コメディだとしたら、おかしかったですか?

 もともとお笑い集団ジョビジョバの舞台「ジョビジョバ大ピンチ」を原作に、「踊る大捜査線」の本広克行監督が撮ったエンターテインメント・ムービーという触れ込みで、当時はテレビ予告編もバシバシ流れて、えらく気合の入った宣伝を行っていたものです。気合が入っているといえば、架空の人気アニメ「スペーストラベラーズ」を作りこんでDVDで先行発売したり、映画の中でもコスモ銀行のキャラやピザの宅配、架空のロックバンドのCDとか小道具をびっちり作りこんで、このへんもやけに気合が入ってる感じでした。でも、期待外れでした。

 舞台なら笑える「間」とか「場」とか「空気」とか「役者と観客の呼吸」とか、そんなモノがあると思います。たぶん、この話も舞台で見ていたら、大爆笑で、最後はホロリだったんじゃないかと想像するのです。

 なんか、ダレてるんですよね。

 キャストが豪華すぎ…金城武さん(西山保(ハヤブサジェッター))・安藤政信さん(藤本誠(ブラックキャット))・池内博之さん(高村功(ドラゴンアタック))の3人に、寿退社するはずだった人質の行員役で深津絵里さん(相田みどり(アイリーンベア))・同僚行員役に甲本雅裕 さん(清水孝宏(カールヘンドリックス))、人質客で手配中の国際的テロリスト役に渡辺謙さん(坂巻隼人(クラッシュボンバー))、人質客で離婚寸前の夫婦役に筧利夫さん(深浦巧一(ホイ))・鈴木砂羽さん(深浦公(ゴールドパピヨン))、人質客で電気屋役に武野功雄さん(倉沢慎太郎(エレクトリックサニー))、ほかに濱田雅功さん、ガッツ石松さん、大杉漣さん、中山仁さん、高杉亘さん、小木茂光さんら。豪華な役者陣が、尻すぼみな役だったり、どうでもいい役だったり、使い切れていない感じがします。

 ストーリーも…外でパトカーが炎上するあたりで、かなり盛り上がりを期待したところ、スペトラのキャラを名乗って連帯するあたりから怪しくなり、小ネタがすべり、喜劇を期待しているのに、マジな会話が交わされ、消化不良を感じ始めたころ、「えっ、池内くん、撃たれちゃったの?」と思ったら、一気に事件はよく分からない収束を向かえ…ハッキリ最後を映像化しなかったあたりに、胡散臭いモノを感じるし、「コメディやないやん」という反感も覚えたワケです。そう思うと、冒頭に織り込まれた「南の島の楽園幻想」の映像や、ラストでみどりが「私も楽園を見つけよう」というエピソードなどは、無理やり取って付けたような印象を拭えません。だいたい、「スペトラのキャラになりきるとゆー設定は、どー生かされたんや? 別になくてもえー設定やったんやないか?」と、大いに首を傾げたくなります。

 さんざんこき下ろしておいてなんですが、ボクは深津絵里さんが大好きです。特に本作のショートカットの絵里さんは、むちゃくちゃキュートで大好きです。DVDを買ってよかったと思ったのは、かわいい絵里さんのカットが見られたことだけかな…^^;)

●監督:本広克行