一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

GSワンダーランド

私的評価★★★★★★★★★★

GSワンダーランド プレミアム・エディション [DVD]

 (2008日本)

 世界が僕を待っていた。

 フリフリの王子様スタイルにマッシュルームカット、白いタイツに編み上げブーツという衣装でデビューするなり一躍人気となったグループ〝ザ・タイツメン〟。人気の中心は美形のミック…だがその正体は実は女! 歌手志望のミク(栗山千明さん)がソロデビューを交換条件に男装してグループに入ったのだ。秘密を抱えながらデビュー曲〝海岸線のホテル〟のヒットを狙うマサオ(石田卓也さん)、シュン(水嶋ヒロさん)、ケンタ(浅利陽介さん)、ミックの4人。だが、彼らを付け狙うカメラマンが現れて…。(DVDパッケージから引用)


 『ポール・マッカートニーリンゴ・スターが秋田の山に来ている!』
 んなワケないやろwwwって、いきなりツッコむ、コメディタッチの映画です。


 1968年秋から1970年春までのわずか2年足らず(実質1年余り)の短い期間を、GS(グループ・サウンズ)に賭けて全速力で突っ走った青春。

 当時の音楽シーンの雰囲気を全力で再現して見せた、こだわりの楽曲の数々が凄い。
 ザ・タイツメンのデビュー曲〝海岸線のホテル〟は、筒見京平さんの作曲。
 その他の楽曲も、当時流行ったグループ・サウンズへのオマージュ満載の曲がいっぱい。
 栗山千明さん演じるミックこと大野ミクの歌うパンチの効いた歌謡曲〝ダイアモンド・ナイト〟や温水洋一さん演じる大河内率いるフレッシュ・フォーが歌うムード歌謡〝あなたのフリをして〟も、本気で当時の流行歌を再現してる。
 もう、その頃の音楽が好きな方にとっては、終始ノリノリで楽しいはず。

 個性的な登場人物も面白い。
 芸能事務所〝オフィス梶井〟の社長役の武田真治さんが、突き抜けてて素晴らしい。なんか業界人っぽい、派手なスーツの着こなし方とか、太鼓持ちみたいな振る舞いとか、大げさなアクションがかった身のこなしとか、『NIGHT HEAD - 一応、邦画劇場』で演じた繊細な青年とも違うし、サックスを演奏するミュージシャンとしてのクールな感じとも違うし、最近の筋肉体操のひととも雰囲気違うし、とにかく、突き抜けちゃってるとしか言いようがないほど、キャラが立ってて、ステキなんです。
 中ほどで、レコード会社の佐々木部長(杉本哲太さん)とケンドーコバヤシさん、山崎樹範さん演じる部下たちが集まり、マサオたちのグループの売り出し方法をめぐってアレコレ協議する中、当時の実在のGSグループの特徴などを端的に説明するシーンがあり、勉強になりますwww
 同じレコード会社の社長役は、岸部一徳さん。GS時代はジュリーこと沢田研二さんのいたザ・タイガースのベースで、サリーと呼ばれていました。このザ・タイガースへのオマージュと思われるザ・ライオンズというグループが、冒頭のタイトルでステージに立って一曲披露するんですが、そのヴォーカルが岸部一徳さんの実子の岸部大輔さんで、彼もロックバンドでベースとヴォーカルをやってるそうです。

 映像的にも全体的な色合いがベッタリ、コッテリしていて、当時の総天然色カラー映画の雰囲気を醸してる気がします。
 ヘアスタイルとか衣装の色合い、部屋の壁紙やカラフルな暖簾などの調度品、レコードジャケットのタイポグラフィなんかもサイケな雰囲気が再現されてて、たまらんですね。

 なんかもう、ホントに楽しい映画。
 何度でも観たくなります。

バンド映画としては、こちらも面白かったです。
vgaia.hatenadiary.org


●監督:本田隆一 ●脚本:本田隆一永森裕二