一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ダメジン

私的評価★★★★★★★★★★

ダメジン デラックス版 [DVD]

 (2006日本)

 もし、大人たちが永遠の夏休みを手に入れたら…。

 ユルい! ゆるすぎる! 脱力系ムービーにはまってしまいそうな自分がコワいが、満点をやる! が、ワシの評価なんかアテにすんなよ! 後悔するかもよ(笑)!

 退廃的で暑苦しい、陽炎ただよう真夏の川崎。紅白縞模様の煙突が、白い煙をもうもうと吐き出して、見るからに息苦しい。高度経済成長期の忘れ形見のような、サビとホコリにまみれた、寂れた商店街やバラックが立ち並ぶ異世界の楽園…どうしてもこの現実社会と地続きに存在していると思えない、すごいロケーション。

 そんな退廃的な世界に降り立つ太平楽なリョウスケ(佐藤隆太さん)・ヒラジ(緋田康人さん)・カホル(温水洋一さん)の3人のダメジンたち。一度も就職しないまま、なんとなぁ〜く毎日「働かずに生きていける方法」を模索している。

 バラック靴屋に勤めるトルエン中毒のチエミ(市川実日子さん)は幼なじみ。

 出所したばかりのヤクザのササキ(篠井英介さん)はチエミの恋人で、定職についていない3人にヤクザになることを勧めるが、それすら面倒臭いという3人。

 正直なところ、ホームレスとの違いが分からない微妙さがあるが、ホームレス以上に「生きるために何かをしているように見えない」ところが不思議。どうやって生きているのか、いや、何となぁ〜く、何とかなっているらしい。



 もう、見ていて、どうしようもなく力が抜けてくる。力を込めて生きていると勘違いしている自分が、恥ずかしいとまで思えてしまう。

 ひどい内容なのに、何故か心にポッと灯がともるような気がする作品。

 出演者では、おそらく映画初出演の菅原洋一さん、これが遺作となった岡田眞澄さん、なんで出たのか伊東美咲さん、ぜいたくな使い方だったなという吉岡秀隆さん。 濃ゆぅ〜いその他の面々の中で意外とはまってた。特に菅原さんのハーモニカ売りは、抜群に怪しさ全開だった。強いて言えば、伊東さんは、ちょっと浮いてたな(役柄的にも浮いてて仕方ない幽霊役だったけどw)。

●監督・脚本:三木聡 ●企画:三木聡緋田康人温水洋一