理由
私的評価★★★★☆☆☆☆☆☆
(2004日本)
大嵐の晩、荒川の高級マンションで起きた殺人事件、4人の死体は本来住んでいる住人のものとは違っていた。というお話です。
激ムズ…ホントは評価不能。大林宣彦監督自身が「賛否両論、真ん中はないね。ただ、誰も見たことのない、実験的な映画」と語るように、実験的な部分を評価して星4つがボクの限界です。
まず、ホントに作り込んだ映画なんですね。屋外セットをすべて囲んで夜を作り出したというエピソードには呆れました。照明ががんばっているそうなんですけど…なんでこの映画は、こんなにも色が悪いんでしょうか? 初め、やけにコントラストがきついので、「もしかしてプロジェクタのランプ寿命到来*1か?」と慌てたほどです。見ていて気分が悪くなりました。何を狙ってのことなのでしょう? テレビの取材カメラ映像という設定だからでしょうか? それにしても気味悪い色使いです。赤い照明もやけに多いし…こういう画は趣味じゃありません。
エンディングの映像はさらに悪趣味です。悪趣味な上に悪趣味な出演者全員による「殺人事件が…(この先聞き取り不能)」という陰気な歌声が、もう最悪です。気分も滅入ったまま見終わります。
ストーリー的には、すごく原作に忠実に作られているそうなんです。107人のノーメイクの生々しい出演者の証言でつづる、ドキュメンタリー仕様です。原作を読んでいなかったけど、話の内容はなんとか追いかけていくことができました。途中で「こんなに広げて、まとまるんかいな?」と心配にはなりましたが…。ドキュメンタリー・タッチを狙った作りのせいか、亡くなった八代祐司のことは結局分からないことだらけでした。つまり、ドキュメンタリーだから、リアルに「分からないことは分からない」ということです。肝心な「理由」が分からない、というのも、仕方ないことなのでしょうか? そのうち、ワイドショーの現場を歩く、レポーターの映像を見ているような気がしてきました。
試みとしてはおもしろいと思うし、いい映画だなぁと思える部分も多かったんですけど、今回の照明の件とか、特殊効果の部分とか、大林監督の映像美にはついていけないところが多いです。まったく個人的な感想ですが…。