ウルトラマンマックス 第11話「バラージの預言」
私的評価★★★★☆☆☆☆☆☆
(2005日本)
えっと、初代ウルトラマン、ウルトラセブンの時代への回帰を目指したウルトラマンの最新シリーズですが、今回の登場怪獣はかつて初代ウルトラマンが倒したアントラーです。造形がカッコいいですわな。昔の怪獣は、造形の美しさと、ネーミングの響きのよさで、子どもたちにしっかり受入れられていたワケです。怪獣の造形を、新たに創造するのはとてもたいへんな作業なんですよね。帰ってきたウルトラマン以降ウルトラマンレオまで4年連続して昭和のシリーズが続いたワケですが、レオでいったん中断した理由のひとつに、怪獣作家のアイディアの枯渇があったのではないかと勝手に想像しています。それほど、ウルトラマンタロウ以降の怪獣の造形は、ややもすると“やっつけ仕事”と受けとられかねないほど、悲惨な状況だったように思うのです。
ま、あだしごとはさておき。
ついに、金子修介監督の登板と相成った今回、かなり期待していたのですが、ちょっとシナリオがいまいち消化不足気味だったみたいで、なんか腰砕けな印象を拭えません。「人類が文明開発のために自然を浪費すると怪獣が現れて自然のバランスをとるために人類とその文明社会を破壊する」という構図は、金子監督の平成ガメラシリーズでも取り上げられた重いテーマだったりするワケですが、30分足らずのお子様向け番組では、結局「人類を守るウルトラマンが悪い怪獣をやっつけた。めでたしめでたし」としか映らない、なんとも教育上好ましくない展開で終わってしまったのでした。平成ガメラシリーズのヒロイン藤谷文子さんまでゲスト出演して、もう気分的にはほとんどガメラになりかけていたワケだったのですが、無念です。
怪獣を封印するキーアイテム、なつかしの“バラージの青い石”も、なんともお座成りな扱われ方をして、初代ウルトラマンで“バラージの青い石”のエピソードを大切な思い出にしている世代としては、ちょっとねぇ…金子監督に子ども向けの作品はもったいなかったのかしらん?
ま、期待はずれだった本作を突然取り上げた、ホントの理由は、実はオープニングのこのシーンに触れたかっただけだったのですが…ごらんになった方は、すぐピンと来ましたよね? そうです。団地の砂場でソフビの怪獣を戦わせる、ふたりの子どものシーンですよ。ふたりの子どもの手にしていた怪獣は、ガメラとゴジラ。円谷作品とは関係ないこの2大人気怪獣の登場は、ステキな意味を持つのです。ゴジラ モスラ キングギドラ大怪獣総攻撃で金子監督がメガホンを取ったときに、ボクら怪獣特撮ヲタクが大いに胸をときめかせたのは、金子監督が次回作でゴジラ×ガメラという日本映画界のタブーともいえる禁断の怪獣映画を撮るんじゃないか、という期待だったのです。ま、それがこんなしょぼい形とはいえ、「メディアに乗っかったことには大いに意味がある」などと、またしてもあらぬ期待を抱かずにはいられませんよね。はっはっは…実現したらもうこれ以上はないという大作になるだろーなぁ。
おっと、そうなんだ。やはりゴジラ×ガメラはまずいのね。再放送、DVDでは別カットに差し替えとなると、この回だけはDVD-Rに焼いとかないとイケませんね。_φ(..)