一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

小さき勇者たち〜ガメラ〜

私的評価★★★★★★★★★★

小さき勇者たち ~ガメラ~ 大映特撮 THE BEST [DVD]

 (2005日本)

 事故で母を亡くした透(富岡涼さん)は、父(津田寛治さん)と二人暮らし。美しい海に面した伊勢志摩の港町で漁師を相手に食堂を営む父は、この場所で幼いころにギャオスとガメラの戦いを目の当たりにしていた。ある日、海に泳ぎに来ていた透は、島で赤くまたたく光を発見する。たどり着いてみると赤く光を放つ石の上にゴルフボール大の小さな卵があった。透が手にすると、卵の中から亀の赤ちゃんが生まれてきた。透は子亀にトトと名づけ、父に内緒でトトを飼うことにするが、家に連れ帰った翌朝目覚めたとき、トトは4倍近くも大きくなっており、しかも宙を舞うようになっていた。


 ジュブナイル・ファンタジーガメラはどうかなぁ、と思ってたんですが、とてもよい作品に仕上がっていました。

 まず、画面が美しい! 画面いっぱいに広がる伊勢志摩の風景、狭い港町の路地を駆け抜ける少年たち、自然な色合いに統一された特撮合成部分とともに、作品に一体感が感じられました。

 またドラマ部分では特に、母を亡くし、父との距離感をうまく作れない透少年の微妙なキモチの動きが、丁寧にきめ細かく描かれており、安心してストーリーに入り込めました。監督は仮面ライダー・シリーズの田崎竜太さんですが、こんな繊細な演出もできる方だったんですね。

 そして特撮部分の演出も申し分なく、巨大化した生物同士の戦いの場面では、怪獣映画的にはやや小ぶりとも思えるトトのスケール感が、リアリティを感じてしまうほどに、うまく画面にフィットしていました。特撮演出でクレジットされている金子功さんは、特撮監督は今回が初めてということらしいのですが、実にすばらしい仕事をしています!

 いやぁ、トータルでかなり出来のいい作品だったと満足しました。

●監督:田崎竜太 ●特撮演出:金子功