一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

悪魔の手毬唄

私的評価★★★★★★★☆☆☆

悪魔の手毬唄[東宝DVD名作セレクション]

 (1977日本)

 9月になってメッキリ更新してませんでしたが、見てなかったワケではありません。とりあえず、後追いで少しだけ更新しときます。


 仁礼家と由良家の対立する岡山県鬼首村(おにこべむら)は、村出身の歌手・別所千恵(仁科明子さん)が村に帰ってくるということで、ちょっとした騒ぎになっていました。仁礼家の娘・文子(永野裕紀子さん)と由良家の娘・泰子(高橋洋子さん)は、千恵の同級生で、ふたりとも仁礼家の葡萄酒工場に勤務する青池歌名雄(北公次さん)を慕っていました。歌名雄は泰子と付き合っており、近い将来結婚することまで考えていたのですが、母親で亀の湯の女将のリカ(岸恵子さん)は、ふたりの結婚に強く反対していました。一方、金田一耕助石坂浩二さん)は岡山県警の友人・磯川警部(若山富三郎さん)に呼ばれ、亀の湯に滞在していました。20年前に村で起きた事件を執念深く追いかける磯川のたっての依頼で、金田一は事件を再調査することになったのです。20年前リカの夫・源次郎と、村に流れてきていた詐欺師・恩田の間で争いがあり、恩田の滞在先の多々良放庵(中村伸郎さん)の家で、いろりの火で顔を焼かれた源次郎と思われる男の殺人死体が発見されていました。金田一は事件の聞き込み調査のため、総社の町に歩いて向かう途中、峠で放庵の元妻・おはんと名乗る老婆とすれ違います。そしてその夜、千恵が帰ってきた日、泰子が殺され、村に伝わる手毬歌をなぞるようにして連続殺人事件が起きたのです。


 市川崑監督の金田一耕助シリーズは、見応えがありますねぇ。もう何回目か忘れましたが、繰り返し見ても、謎解きが分かっていても、重厚な人間ドラマの部分が見応えがあって、何度見てもついつい見入ってしまいます。

 原作を読んだのは中学生のころですから、もうほとんど記憶にありません。しかも友人に借りた角川文庫版でしたから、その後読む機会もありませんでした。それでもしっかり記憶に残っているのは、本作と古谷一行さんが金田一耕助を演じるTVシリーズを見たときの強烈な印象が、脳裏に刷り込まれているからなんでしょうねぇ。ところで、TVシリーズでは、“おはん”は“おりん”だったのかなぁ? MBSヤングタウンヤンタン月曜日のパーソナリティ笑福亭鶴瓶さんが、相方の浅川美智子さんに“鬼首おりん”と呼びかけて、しばらくブームになってしまったのですが、きっかけは古谷一行さんの金田一シリーズの方だったと思うんですよ。かなり懐かしいネタですね。ボクらの世代のヤンタン・リスナーの間では常識と化している伝説です。

 小ネタですが、事件解決後、総社の駅で金田一耕助と磯川警部の別れのシーン。蒸気機関車が発車したところで、金田一が磯川に話しかけ、磯川がよく聞こえない(フリ)をする、しかし、ホームの柱にはひらがなで「そうじゃ」と。岡山弁で「そうです」、金田一の問いかけを暗に肯定してふたりは別れる---きっとそんな意味だったんじゃないかと。これは考えすぎですかねぇ?

●監督:市川崑 ●原作:横溝正史(小説「悪魔の手毬唄」)

《ボクはBOXセットを買いました》