一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

みんなのいえ

私的評価★★★★★★★☆☆☆

みんなのいえ スタンダード・エディション [DVD]

 (2001日本)

 テレビ番組の脚本家飯島直介(田中直樹さん)と妻の民子(八木亜希子さん)が、郊外の土地に新居を構えることになりました。モダンな家に住みたいと願った民子は、大学の後輩でインテリア・デザイナーの柳沢英寿(唐沢寿明さん)にデザインを頼むことにしました。店の内装なども手がける柳沢は、いつか家のデザインもしてみたいと考えていたため、快く了承します。ただし、柳沢は建築士の免許を持っていないため、登記ができないので、デザインはするが、設計図は建築士に頼んで欲しいと条件をつけました。民子は父、岩田長一郎(田中邦衛さん)が大工で建築士の免許も持っていることから、登記と建築を父に依頼することに決めます。ところが、昔気質で“和”の様式にこだわる長一郎と、アメリカのモダン建築を志向する柳沢は、ことごとく対立してしまい、なかなか事態は前に進みません。果たして飯島家のマイホームは、無事完成するのでしょうか?


 やっとDVDの廉価版が発売になったので、購入しました。東宝さん、税込6300円は、特撮マニアしか買えないってば。というワケで届いた本日、早速家族で鑑賞しました。

 『家を建てる』という、割と身近なテーマだったので、両親の世代でも分かりやすいかな、と思ったのですが、正解でした。まず、インテリア・デザイナーと昔気質の職人という対立軸が、明快で分かりやすいですし、風水を持ち出して事を混ぜ返す直介の母(野際陽子さん)や、団地住まいで直介たちをやっかむ民子の姉の夫(山寺宏一さん)の絡み方など、一戸建てのマイホームを手に入れるにあたって身の周りに現れるであろうキャラの人々が絶妙に配置されていて、思ったとおりに捩れていくマイホーム計画の行方を、家族みんなで笑いながら見ることができました。

 昔気質の職人である義父に憧れを抱き、ちょっと優柔不断なところのある直介のキャラは、けっこう自分とかぶるところがあるので、なんか気になりましたね。対立する柳沢と長一郎が、実は自分の世界を持つ頑固者の似た者同士だから衝突するのだ、と気づいた直介は、いつか柳沢と長一郎が突然意気投合することがあるかも知れないと思い始め、柳沢と長一郎がいい雰囲気になりかけると、嫉妬でイジケてしまい、仕事も手に付かなくなってしまうんです。なんか、分かるんですよ、男のジェラシー。

 出演者、ちょい役にいろんな人がいっぱい出てて、豪華なんですよ。テレビ局のメールボーイに明石家さんまさん。直介が書くテレビドラマの出演者から、本人役の中井貴一さん、ゴジラの着ぐるみが田口浩正さん(エンドクレジットの映像で分かりました)、火星人役でココリコ田中直樹さんの相方・遠藤章造さん。エプロンの位置が妙に高いマスターで小日向文世さん、その店の客に松重豊さん。バーテンダー真田広之さん、その店の客に和田誠さん、戸田恵子さん。地鎮祭の神主に香取慎吾さん。その他、三谷さんの舞台やテレビドラマでおなじみの方々。

 定価2940円なら、一家に1枚置いておきたい映画です。年明けの“THE 有頂天ホテル”も楽しみだなぁ。

●監督・脚本:三谷幸喜