一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

戦国自衛隊1549

私的評価★★★★★★★★☆☆

戦国自衛隊1549 DTS特別装備版 (初回限定生産) [DVD]

 (2005日本)

 2003年に陸上自衛隊の実験で行われた演習で、的場1佐(鹿賀丈史さん)率いる精鋭部隊が、富士山裾野の演習場から戦国時代にタイムスリップしてしまいます。的場たちのいたエリアは戦国時代の大地と入れ替わっており、74時間26分後、そのエリアは再び現代の大地として戻り、瀕死のひとりの戦国武将(北村一輝さん)を現代にタイムスリップさせたのでした。2年後、日本の各地に時空の歪みを検知した神崎怜2尉(鈴木京香さん)たちは、的場たちが過去の歴史にかかわったため、現代の世界が破滅する予兆と認め、的場たちを現代に連れ戻すことを計画します。かつて的場の部隊にいた鹿島勇祐(江口洋介さん)を含めた部隊は、2度目のタイムスリップを敢行し、戦国時代へ向かいました。再び現代に戻ってくるまでのタイムリミットは74時間26分、果たしてミッションは成功するのでしょうか…?


 本作で、福井晴敏さん原作の2005年映画化3作品、すべて観たことになります。特撮と音のスケール感で、一番良かったかな、と。

 冒頭の現代劇部分でこそ、江口洋介さんと鈴木京香さんの存在感が感じられるのですが、戦国時代に舞台が移ってからは、なんでこの2人が主役なんだろうと首を傾げたくなるほど、影が薄く感じられます。部隊を率いていた生瀬勝久さんの方が、よっぽど役者としては光って見えたし、戦国時代を生きている七兵衛(北村一輝さん)こそ主役かと見まがうほど存在感抜群だったのは、単に江口さんの役者としての力量不足なのか、そういうシナリオで仕方がなかったのか…鈴木京香さんの役回りに至っては、神崎と的場との関係性がつかみにくく、愛情があったとも思えるし、単に組織の中の人間として実験を実施した責任者と被害者の関係でしかなかったとも思えるし、まったく感情移入できないところです。

 ただまぁ、ストーリーがおもしろくなかったかといえば、映画の尺に収めるための必要十分な構成は保っていたと思うので、満足感はありましたよ。戦争映画は嫌いなボクでも、大義名分のために立ち上がる人間の志には、不覚にも武者震いを禁じえないので、その手の感動はいっぱいありました。でも、それだけっちゃ、それだけかも知れませんがね。歴史を元の流れに戻すために、どんな展開があるかに触れるとネタバレになるんで慎みますが、変にツッコミ入れずに素直に受け入れたほうが楽しめますよ。なんてな。

 特撮はなかなか景気よかったです。破壊一辺倒の画面ですから、特にCGも気にならなかったですし、良かったんではないかと。天母城の落城シーンは、CGとミニチュアとオープンセットの繋ぎが見事で、大いにカタルシスを感じることができます。DTSディスクリート6.1chで視聴しましたが、一時的に合戦場の真ん中に放り出されたり、真後ろから体をかすめて砲弾が飛び交ったり、包囲感も音の移動感もよくできてたと思います。ひとつ気になったのは、ヘリコプターが後ろに回ると、スタンドに設置したリアSPの周辺に音が下がってしまう点です。これはDTSでもDDEXでも同じ傾向なので、元々そういう音の設計なんでしょう。

 どうでもいいけど、DVD化に当たって、『通常版(本編ディスクのみ)』『標準装備版(本編ディスク+特典ディスク)』『DTS特別装備版(ディスクリートDTS6.1ch本編ディスク+標準版の特典ディスク+特典ディスクもう1枚)』と、ついでに戦国自衛隊とのツインパック仕様まで用意されたのはいいんだけど、興味は『ディスクリートDTS6.1ch本編ディスク』のみのボクにとって、その選択=一番高い商品となったのは腹立たしいです。特典ディスクはおそらく見ないので、邪魔です。

●監督:手塚昌明 ●特撮監督:尾上克郎 ●原作:福井晴敏(小説「戦国自衛隊1549」) ●原案:半村良