一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ブレイブ -群青戦記-

私的評価★★★★★★★☆☆☆

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映画『ブレイブ -群青戦記-』公式サイトより引用

 (2021日本)
 
 退屈な授業と、常勝を義務付けられた部活。
 “その日”は、彼らにとっていつもと同じ学校生活だった。

 自分に自信が持てない弓道部の西野蒼(新田真剣佑さん)は、部活にも力が入らないでいて、幼なじみの瀬野遥(山崎紘菜さん)と松本考太(鈴木伸之さん)も、そんな蒼のことを気にかけていた。

 いつもと変わらない日々の中だったが、一本の雷が校庭に落ちて、彼らの日常が一変する。

 学校の外の見慣れた風景は、見渡す限りの野原となり、校内には刀を持った野武士が襲来して、学校生徒はパニックに!

 次々と生徒が倒れていく中、歴史オタクの蒼は、学校がまるごと戦国時代、かの有名な「桶狭間の戦い」の直前までタイムスリップしてしまったことに気付く。

 果たして彼らは戦国時代を生き抜いて、平和な現代に戻ることができるのか?!

 いま、歴史上で決して語られることのなかった、前代未聞の高校生アスリートVS戦国武将による戦いが始まる!

(映画『ブレイブ -群青戦記-』公式サイト「STORY」より引用)
brave-gunjosenki.jp


 PG-12の衝撃!
 いきなり落ち武者かゾンビか、みたいな鎧武者が校舎に攻め入って来て、問答無用に生徒たちをバッサバッサと斬り殺し、辺りは阿鼻叫喚の地獄絵図!

 ぞわぞわと身の毛がよだつような、イヤな感じ…これは、無意識のうちに、終始身を硬くしてしまう類の映画に違いない―と思ったのは冒頭のジェノサイドなシーンだけかな? このあとも残酷なシーンは多いんだけど、血しぶき飛び散る映画は苦手なボクでも、まぁ耐えられるレベルだったよ。イチバンあかんのは、血しぶきだけに止まらない容赦ない描写してくるヤツ―は、さすがにR18かな?

 ま、さわりの個人的な戯言はさておき。


 戦国時代にタイムスリップって、『戦国自衛隊1549』とか? あ、クレしんにも名作があったな(と、言いつつ、未見^^;)

 なかなか見せ場の多い作品でした。
 CG、VFXも良かったんですが、何気に殺陣が良かったですね。

 作品のテンポも良く、戦闘と休息の緩急の付け方のバランスも良かったので、観ていて置いてけぼりをくらうようなことはありませんでしたし、ストーリーの落としどころも―まぁバレバレではあったけども^^;―良かったんじゃないかな。


 主役が映画初単独主演の新田真剣佑さんだったんですが、ちょっと気弱で自信のない高校生の役柄だったこともあって、敵陣を攻める高校生集団のリーダーになってからでも、終始控えめであまり目立たない印象でしたね。クライマックスで大立ち回りを演じて見せても、なんか迫力不足。この辺は、この春公開される『るろうに剣心』で、おそらく全く印象が変わってくるところなんでしょうけどね。たぶん、役柄上、仕方なかったんだとは思うんです。

 とは言え、戦国武将役の松山ケンイチさん(織田信長)と三浦春馬さん(松平元康―後の徳川家康)が圧倒的な存在感を示していたので、彼らが画面にいる間は、完全に主役の座を持っていかれてたのは否めない事実です。
 なんかしら、千両役者が登場して、一気に画面が締まったカンジですよ^^;

 松山ケンイチさんの織田信長は、他者を威圧する強烈なオーラが漲っていて、鷹揚な所作の中にも全くスキを感じさせない迫力がありましたし、一方の三浦春馬さんの松平元康は、言葉は強く鋭くとも、どこか人の情けを感じさせるような大らかな雰囲気があり、とても惹きつけられました。つくづくも、惜しい俳優を失ってしまったと、またしても三浦さんの演技をみながら涙してしまいました。


 そして、本作でイチバン、こみあげる感情を抑えきれずに武者震いしながら涙を流してしまったのが、絶体絶命の窮地に救いの手を差し伸べに戻ってきた松平元康の登場シーンです。無声映画なら会場から「ぃよッ! 日本一!」「春馬ッ!」ってな掛け声が飛び交う最大の見せ場かも知れません。

 三浦さんの男気溢れる抜刀シーン、そしてその目力には、観てるボクまで斬られるんじゃないかというほどの気迫を感じました。

 正直、このシーンを目に焼き付けるためだけでも、本作を観に行ってイイんじゃないでしょうか?


●監督:本広克行 ●脚本:山浦雅大、山本透 ●音楽:菅野祐悟 ●原作:笠原真樹(コミック『群青戦記 グンジョーセンキ』/集英社ヤングジャンプ コミックス刊)