一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

リンダリンダリンダ

私的評価★★★★★★★★★☆

リンダリンダリンダ [DVD]

 (2005日本)

 タイトルは、ブルーハーツのヒット曲。彼らの歌は、瞬時に心に熱いモノをたぎらせるような爆発力があると思うのです。とてもシンプルなメロディばっかなんだけどね。そんなブルーハーツの曲をコピーして文化祭で披露することになった、とある地方の高校の軽音楽部の女子高生たち。彼女たちは本来5人組で、オリジナル曲を演る予定だったのですが、ギターの女の子が突き指で演奏できなくなったことをきっかけに、メンバーの中でケンカが起きてしまい、文化祭の出演を取りやめるかどうか、選択を迫られていたのです。キーボードの恵(香椎由宇さん)は、自分がギターをやるから、ボーカルを急遽誰かにやってもらおうと提案、成行きから韓国からの留学生ソン(ペ・ドゥナさん)をメンバーに引き入れます。しかし、文化祭の本番は2日後、果たして…。

 えー、高校の文化祭です。夜の学校に泊まり込んで本番に備えた記憶のある人、友だちの家に集まって臨時合宿した記憶のある人、文化祭当日の高揚感と、それとは裏腹に漂ういつもと違う学校の気だるいような雰囲気…そんなさまざまな経験のある人には、確実に心の琴線に触れるであろうシーンの数々が、さりげなく散りばめられている、そんな映画です。

 本番まで2日しかない、そんな焦燥感がメンバーにあるはずなのに、画面全体を包む時間は、なぜかゆったりと流れているように感じられます。2日というリアルな時間が、2時間弱の映画の中に収められているという感じなのでしょうか? そんな雰囲気が、登場人物たちの存在をリアルに感じさせてくれます。ボクは、ペ・ドゥナさんのたどたどしい日本語と、絶妙の間に、かなり釣られました。

 もちろん、クライマックスはタイトル曲の演奏です。泣けました。感動的でした。お安いですね、自分。でも、よかったんです。

 とりたてて盛り上がる仕掛けのある映画ではありませんが、気持ちのいい青春映画です。

●監督:山下敦弘