バッテリー
私的評価★★★★★★★★★★
(2006日本)
孤高の天才ピッチャー原田巧(林遣都さん)と、彼の球を受けるキャッチャー永倉豪(山田健太さん)の出会いから1年間の彼らの成長を描いた、あさのあつこさん原作のジュブナイルの映画化です。
非常によくできた映画だと思います。
街の中心を悠然と流れる川が印象的な新田市(モデルは岡山県津山市でしょうか?)の穏やかな田舎町の風景、何世代もの子どもたちが使い続けているような草野球場のくたびれ具合、巧たち親子が引っ越してきた祖父の家の古式ゆかしい日本家屋のたたずまい…ときおりCG合成が混じっているのも分かりましたが、ロケ地の穏やかな雰囲気が非常によく出ていて、子どもたちが伸び伸びと野球に打ち込めるすばらしい舞台であることが伺えます。
病弱な巧の弟・青波(鎗田晟裕さん)を中心に通わされる原田家の親子愛・兄弟愛。バッテリーを組む巧と豪、少年野球チーム新田スターズ出身のヒガシ(太賀さん)やサワ(米谷真一さん)ら子どもたちの厚い友情。強力なライバル門脇秀吾(渡辺大さん)の登場。必要な仕掛けはすべて揃っていて、それらを余すことなくうまく演出している、そんな印象でした。
ときに大人たちをハッとさせ、ただただ病弱なだけでなく、大好きな野球をしたくて懸命にがんばっているんだと感じさせる健気な青波、彼が倒れたときの家族たちの複雑な思いや言葉のやりとりには、ついついほろりとさせられました。