一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

時をかける少女 (1983年)

私的評価★★★★★★★★★☆

時をかける少女 角川映画 THE BEST [DVD]

 (1983日本)

 尾道の高校に通う高校生、和子(原田知世さん)は放課後、化学の実験室を掃除中にラベンダーの香りを嗅いだ途端、気絶してしまう。やがて目覚めた彼女は、時間の流れを飛び越えてある1日を繰り返して体験するという、不思議な能力を持つように。そんな和子は転校生の深町(高柳良一さん)に魅了されるが、和子に起きた異変の原因も実は彼にあり、彼の正体は何と未来からやって来たタイムトラベラーだった……。(WOWOWの番組内容から引用)


 あ。実はレビュー書いてなかったことに気づいてたけど、録画したBD-R探してて、やっと見つけた次第。
 歳とってから観直すワケで、たぶん、20代のころとは感じることが違うんだろうな、と思いつつ、久しぶりに観ました。

 ヤバいですね。
 初見から36年って……主演の原田知世さんが、50歳を越えている事実に愕然とするしかありません。

 当時、ボクは大学生でした。
 思い出すのは、原田さんの演技がもう下手っぴぃで見てられない、ってサークルの先輩や後輩たちと酷評し合ってたこと。そして、線の細い原田さんがすごく幼く見えて、彼女を推すような発言をすると、ロリコンみたいに揶揄されてたこと。まぁ、若気の至りですかねぇ。原田さんが、今じゃ押しも押されもせぬ大女優であることは、疑いの余地がありません。

 今になって観直してみると、確かにセリフは棒読みで間も微妙だし、表情もかなり大げさに演じてるカンジなんかが、総じて〝下手っぴぃ〟に見えたんだろな、と思うんですが、オッサンになったよなぁ自分。今じゃ、初々しいとか思ったりして、案外演技の出来なんか気にならなかったりしたワケですよ。

 それより、舞台になった尾道の風景が、もう昭和で、昭和でwww なんかしら、涙ちょちょぎれるノスタルジーに浸ってしまうワケです。

 光学的な処理のみで表現したタイムリープの映像なんかもう、昔のNHKジュブナイル見てるみたいなカンジを思い出しちゃうし、切な気なBGMもノスタルジックで、とにかく、視覚・聴覚からさまざまな自分の中の昭和の記憶が蘇ってきて、しまいにはホントに涙がじわっと溢れてしまってたんです。大林監督の独特の画像処理センス、ときどき肌に合わないんですけど、本作はすごく良かったですね。

 で、トドメが、エンドロールのバックで流れ始める、原田さんが歌う主題歌〝時をかける少女〟のミュージック・ビデオ。もう、この曲、アカン。80年代って、アイドル百花繚乱の爛熟期だったけど、たぶん、当時流行ったいろんな曲の中でイチバン、この曲が、時代を超えて何度も何度もアタマの中でヘビーローテーションしてて、もうなんだか自分自身のテーマソングかというぐらい、体の隅々まで記憶されてしまってるカンジなのです。そんな状況だから、耳に馴染んだイントロが始まった途端、全身の細胞が鳥肌立てて騒ぎ立てるみたいになって、涙ダダ漏れで放心状態になってしまいました。

 それから見落としてはならない、深町の祖父母役の上原謙さんと入江たか子さんのおふたり。
 おふたりの若い頃は、さすがにリアルタイムでは知りませんが、歳を重ねてかもす、おふたりの演じる老夫婦の雰囲気、たまりません。
 原田さんと高柳さん(未来)、先生役の岸辺一徳さんと根岸季衣さん(現在)、そして上原さんと入江さん(過去)、三組のカップルの中に、過去と未来を行き来するタイムリープを具象化したような仕掛けを感じました(あくまで、個人の感想…妄想wwwです)。

 そして。
 最後のシーンは、日本の映画史に残る、忘れ難い名シーンですね。
 名状しがたい切なさがこみ上げてきて、胸がいっぱいになってしまいます。


 やはり、何度もリメイクされる、オリジナルの本家本元の映像作品です。
 時代を超えて、伝えていきたいレガシーな作品だと感じました。


※4K scanning版はイイんだろかね?

時をかける少女 4K Scanning Blu-ray

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  • 発売日: 2014/12/05
  • メディア: Blu-ray

それぞれの時代、それぞれの表現手法、それぞれのアプローチで、良さもそれぞれ。
vgaia.hatenadiary.org
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●監督:大林宣彦 ●脚本:剣持亘 ●原作:筒井康隆(小説『時をかける少女』/角川文庫刊)