ほしのこえ
私的評価★★★★★★☆☆☆☆
(2002日本)
21世紀半ば、国連宇宙軍の一員として地球から8.6光年先のシリウス星系に飛び立った中学生の少女・美加子と、地球に残った同級生の昇とが交わす携帯メールをモチーフに描いた近未来の超・遠距離恋愛の物語。地球との距離が離れるにつれて、メールの届く時間が数ヶ月先、1年先、そして8年半先と延びていく。そのたびにふたりが思うことは…。
こういった近未来SFアニメの世界観があまり好きになれないので、こういったジャンルのアニメはほとんど見ないのですが、EURO2008が延長戦にならずに終わったためWOWOWで放映されたのを見るともなしに見てしまったので、感想を書きます。
自主制作映画なのだそうです。そういう意味では、アニメのクオリティは高いのだと思います。あまり見ない方なので、エラそうな感想は書けませんが…部屋に転がる新聞の質感だとか、白い雲沸き立つ夏の空だとか、異星のピュアな荒野の雰囲気だとか、けっこう気に入りました。
モチーフとなった携帯メールのやりとりは、時間と空間が離れることにより、携帯メールでつながっているという今風の恋愛事情が、雨降りの日に愛しい人に会えないといった、どこか源氏物語を思わせるような古典的な恋愛模様に置き換わってしまっていて、着想がおもしろいな、と思いました。
ただ、どうしても好きになれないのは、意味不明な戦争に赴く(あるいは巻き込まれる)主人公という設定の安易さです。なぜ、戦争という極限状態がなければ、ストーリーを描けないのか? 別にシリウスの探査に向かうだけで、戦うシーンを交えなくてもいいと思うのだが…と思いつつ、きっとこういったアニメが好きな人たちには必須なんだろうな。どうも、その辺のノリについていけなくて、だから、今どきのアニメをあまり見る気がしないのだ。たまにこういった佳作があってもね。
●監督:新海誠