一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

マスカレード・ホテル

私的評価★★★★★★☆☆☆☆

マスカレード・ホテル DVD 通常版

 (2019日本)

東野圭吾の「マスカレード」シリーズ第1作を、木村拓哉長澤まさみの共演で映画化したミステリー。殺人が起きると予告されたホテルで、刑事とホテルクラークが謎に挑む。

 東京都内で3件の殺人事件が連続して発生する。各々の事件現場に残された不可解な数字の羅列から、刑事の新田(木村拓哉さん)はそれが次の犯行現場を示すと推理、ホテル・コルテシア東京が4番目の犯行現場になると突き止める。警察はホテルでの潜入捜査を決断し、新田をフロントクラークにするなど、捜査員たちを配置する。新田は彼の教育係として任命された一流フロントクラークの尚美(長澤まさみさん)とともに、ホテル業務をこなしながら捜査を進めるが……。
WOWOWの番組内容から引用)


 フジテレビの『HERO』のスタッフと出演者たちが、こぞって集まって制作した映画のようです。
 豪華と言えば豪華俳優陣だけど、出演部分の扱われ方は、大半の方がチョイ役で、贅沢というか、決して『有頂天ホテル』のような、ホテルを舞台にした群像劇ではないよな、ということ。
 で。とりあえずですね。乗っけから、大仰な主題BGMのボリュームが大きすぎて、セリフがよく聞こえなくて、ものすごくストレス感じたのです。もう、イイ加減腹立って、タイトルバック出る前に、何度再生ブチ切ろうと思ったことか^^; なんかね。うるさい大仰なBGM聞いてるだけで、やっぱりフジテレビのドラマっぽさ、出ちゃうねーって、思ったんですよね。もちろん。個人の感想ですが^^;

 ま、それはさておき。

 石ノ森章太郎さん作画で、TBSがドラマ化した〝HOTEL〟を観てるようでしたね。
 次から次へと思わせぶりな宿泊客を登場させて、〝ホテル的に困った事件〟を起こさせるけど、もう観ているだけでお腹いっぱい。胸くそ悪い客が多いよなぁ……客のわがまま全部聞いて甘やかしてるだけやん、と思いつつ、それが一流ホテルなのかい?ってカンジ。で、そういうシーンのたびに例の大仰な主題のBGMがうるさくて、もう、イラッとしっ放しですわ。てゆーか、もう終いには例のBGMが聞こえてきただけで、滑稽にすら感じてしまってたんですよね。大げさすぎて、ね。『ベル・エキップか!』みたいなwww


 本筋の方ですが。連続殺人事件の予告現場になったホテルに警察が捜査本部移転して、ホテル従業員に成りすまして刑事が潜入捜査するなんて、どこまで本気のハナシなんだか分かりませんが、たぶん、ホンマもんの刑事たちがホテルマンに成りすましてたら、物々しい雰囲気になってしまうか、あるいはどんだけ芸達者な刑事寄せ集めないとアカンのや、みたいなハナシになりそうです。なんか、設定が既に茶番という気がしますが、ま、それでも、そこは目を瞑らなアカンのでしょうねぇ^^;

 それより、犯人の動機が……そんな動機なの?
 そんな動機もアリでしょうけど、なんかさ。
 一流ホテルってギミックあつらえた割りには、安っぽい……いや、まぁ、一流ホテルが現場である必要もあったんでしょうけど、なんか……なんかなのよ。なんか……がっかり。
 俳優陣の演技は素晴らしいのに、なんか残念。


 あとさ。事件解決した後、くどくない?
 ホテルに戻ってくるシーン、必要ですかね。
 マスカレード幻想も要らんと思うし、そういう演出が、却って作品の質を安っぽくしてる気がするんですけどね。


 やっぱり、全部観終えたあと、主題のBGMが最悪って印象しか残ってない。残念な、というか、もったいない映画。
 良くも悪くもフジテレビ的な印象を拭えない。どこか緊張感に耐え切れずに、ついガス抜きしちゃうような日和見的な演出と感じてしまったのが残念。
 お願いだから、円熟期に入った木村さんを、もっと硬派な作品に出させてくださいって、ファンでもないけど思った次第。


●監督:鈴木雅之 ●脚本:岡田道尚 ●原作:東野圭吾(小説『マスカレード・ホテル』/集英社刊)