一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

図鑑に載ってない虫

私的評価★★★★★★★★★☆

図鑑に載ってない虫 完全攻略版(2枚組) [DVD]

 (2007日本)

 フリーライターの俺(伊勢谷友介さん)は、月刊「黒い本」の美人編集長(水野美紀さん)から「一度死んでも生き返れる『死にモドキ』」の噂を検証して、臨死体験ルポを書くよう依頼された。50万円の借金を立てに、無理やり引き受けさせられた俺は、アル中でヒッピーのオルゴール職人エンドー(松尾スズキさん)を仲間に引き入れ、先行調査中に行方不明になったカメラマンの真島(松重豊さん)を探すことにした。


 名無しの「俺」の独白が入ったりして、ハードボイルドっぽさをかもす、ロードムービー・コメディです。

 数々の小ネタが面白い、三木聡さんの作品ですが、本作はかなり「はみ出して」います。どの辺が…ちょっと生理的に嫌悪感を覚えるネタが多すぎるかな、と。冒頭でいきなり水野美紀さんに「ミが出たっぽいんで…」と言わせる辺りは笑って済ませられましたが、「生きているコイだかフナだかを使って人形と合体させて人魚を作っている」辺りから次第に怪しげな感じがし始めると、車のボンネットにゲロする、スーツに痰を飛ばす、ボール一杯のイカの塩辛を床にぶちまける、動物の臓物をステージからぶちまける、ホタルイカの沖漬けをフロントグラスにぶつける…かなり毒を帯びた、きわどい映像です。角砂糖にハチミツをたらしてそのまま口に放り込む件なんか、見ているだけで歯がうずいてきそうになりました。
 しかし、見終わってみると、これらの毒が、カラダ全体に回ってしまったものか、また見たくなってしまったのですね。恐るべし、三木聡

 女優・菊地凛子さんの主演作品は、初めて見ました。なんでもアカデミー助演女優賞ノミネート作の「バベル」の次のお仕事が、本作だったそうです。しっかりと個性を持ちながら、その個性がハナにつかない自然体の演技に好感を覚えました。

 う〜ん、やっぱ「軍曹さんが、桑江知子」だな(昭和ネタ爆)

●監督・原作・脚本:三木聡