一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

おもひでぽろぽろ

私的評価★★★★★★★★☆☆

おもひでぽろぽろ [DVD]

 (1991日本)

 1982年夏、27歳のタエ子は、会社に10日間の休暇を申請した。姉・ナナ子の夫の実家・山形で、紅花摘みの手伝いをしながら田舎の雰囲気を満喫するためだ。旅支度をしながら、タエ子は小学5年生の夏休みの出来事を思い出していた。東京生まれの東京育ちだったタエ子は、田舎に帰省する同級生たちが羨ましくて仕方なかった。それがこの歳になってやっと、姉の夫の実家という形で、自分にも田舎と呼べる場所ができたのだ。寝台特急に乗り込み、山形に向かったタエ子は、そのまま小学5年生のタエ子の『おもひで』を連れて旅することになった。夜明け前、山形に着くと、迎えに来ていた親戚の農業青年・トシオと合流し、タエ子はさっそく紅花畑に向かい、10日間の田舎暮らしを始める。


 『おもひで』のエピソードが、とっても痛いんですよねぇ…。5年生のタエ子、個人的には6年生の自分の『おもひで』とオーバーラップするものがいくつかあって、ちょっと辛くて泣けてきました。大人の事情は、子どもにとっての不条理、なんてのもありますし、子ども同士のたわいもないがゆえに残酷なエピソードもあって、ボクら以上の世代だとけっこうどこかで心にかかる『おもひで』があるんじゃないかな、なんて思いました(タエ子の歳は、実際の私より8歳上ですが…)。

 なんか、切ない。でも、27歳にして、転機を迎える予感に包まれたタエ子の10日間の田舎生活は、清々しい希望を感じさせてくれました。見終わったあと、心地よい気分になりました。アニメはあまり見ないほうですが、これはなかなか佳作でした。

 さて、720Pのプロジェクタにデジタル接続したところ、ヴィスタサイズのアニメは両端だけでなく上下も同じくらいの幅で切れてしまいました。100インチが95インチくらいに縮小された感じでしょうか? う〜む、これで画質は良くなっているのかどうか…私の目では分かりません。

●監督・脚本:高畑勲 ●原作:岡本螢・刀根夕子(コミック「おもひでぽろぽろ」)