椿三十郎
私的評価★★★★★★★☆☆☆
(2007日本)
上役の汚職を暴き出そうと密談していた9人の若侍に加担することになった、浪人・椿三十郎の活躍を描いた黒澤明監督作品のリメイク。
テレビスポットで、織田裕二さんが主役かぁ…と思って、結局劇場にも行かずDVDも買わずにいたのですが、ま、確かに買うほどではありませんでした。
オリジナルは見ていませんので、純粋に評価できると思うのですが。
脚本がほぼオリジナルのままだそうなので、お話は分かりやすかったです。45年前の作品ですが、まったくよく練られた佳作なのでしょう。
織田さんは、意外とがんばっていたように思います。オープニングのお堂を取り囲まれての殺陣などは、けっこうカッコよく感じました。ただ、がんばって力が入りすぎていたような感じがなきにしもあらずで、例えば、彼独特のセリフの発声を無理して抑えているように感じたりもしました。
脇はイイ人が多かったですねぇ。今や重鎮となられた藤田まことさんの古狸ぶり(はちょっと薄かったんだけど)、この人が出てくるだけで画面が「時代劇」って感じに思えてしまいます。小悪党の風間杜夫さん、西岡徳馬さん、小林稔侍さんのトボけた味わいが、また良かった。特に風間さんの動揺した演技は、「ホンマに調子悪くなってんのと違うか?」と思えるほど、大げさにキレてました。あわわわわ。佐々木蔵之介さんの押入れ侍も、役柄にハマってたし、意外と時代劇もイケるな、と思ったのが松山ケンイチさん。
で、大好きな豊川悦司さん。今回もカッコよかった。ただ、ラストの殺陣は…彼のせいじゃない、森田監督の演出なんだけど、ちょっと寂しかったなぁ。
CSで時代劇専門チャンネルなんかを見慣れていると、なんか違和感を覚える作品でした。出演者が微妙に現代劇っぽい人が混じっているんですよね、織田さんも含めて。若侍がオタオタしたり、ハチャメチャに高揚したりする場面など、ちょんまげつけた現代劇見てるみたいで、なんか軽すぎるような印象でした。
黒澤作品のリメイクにトライすること自体には、相当な敬意を払わねばならないと思います。でも、しびれるほどの感動はなかったですねぇ…。
●監督:森田芳光