一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ゴーヤーちゃんぷるー

私的評価★★★★★★★★★☆

ゴーヤーちゃんぷるー [DVD]

 (2005日本)

 高校でイジメに遭っていた鈴木ひろみ(多部未華子さん)は、ある出来事をきっかけに不登校になった。ひろみの父は、撮影に出かけた海で遭難し、遺体の上がらぬまま葬儀を行った。母は幼いころに、家族を捨てて沖縄の西表島に戻っていた。同居する祖父母との関わりを絶って部屋に引きこもったひろみは、ネットの掲示板に「別にイイじゃん死んだって。生きているよりマシ」と書き込んだ。その書き込みに、ケンムンというハンドルネームの青年がレスを書き込み、いつしかひろみはケンムンと携帯メールの交換をするようになる。やがて、ケンムン西表島のダイバーズ・ショップで仕事をしていることが分かり、手伝いに誘われたひろみは、西表島に渡る。数か月の引きこもりの末、沖縄に飛び出したひろみだが、外に出ても『心に鍵をかけている』ひろみの表情はいつも深刻そうだった。西表島で宅配サービスを営む吉田サヨ(大城美佐子さん)や、末期がんのホスピスのため滞在している稲江(下條アトムさん)夫妻、そしてダイバーズ・ショップで働くケン(ケンムン武田航平さん)らとの出会いを通じて、少しずつひろみの心の鍵は揺らいでいく…。


 多部未華子さんが、15歳のときの作品です。
 『夜のピクニック』の前ですね。
 イジメ、家族の絆、いのち、生きること、死ぬこと、沖縄の離島と言う独特の世界で、それらの普遍的な問題を、ひろみの心の揺らぎを通して、丁寧に描いています。
 穏やかで心優しい人たちに囲まれ、ひろみの心が少しずつ成長していくさまは、清々しさを感じますね。
 最後、お互いに母子であることを名乗ったあと、母の村岡喜美子(風吹ジュンさん)が、そっとひろみの肩に手を載せるくだりが、母親の心の動きが痛いほど分かって、ステキなシーンだなぁと思いました。


 沖縄の離島を舞台にした映画*1は、いつも沖縄時間の緩やかな流れを感じて、とっても癒されるのです。


●監督:松島哲也 ●原作:竹内紘子(小説「まぶらいの島」/くもん出版刊)