一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

We Are X

私的評価★★★★★★★★★☆

WE ARE X Blu-ray スタンダード・エディション

 (2016イギリス)

 日本のみならず世界で活躍を続けるロックバンド、X JAPAN。その激動の歴史と、世界を熱狂させる彼らの魅力の神髄に迫る音楽ドキュメンタリー。バンドの解散とメンバーの死という最悪の状態から、再結成、そして2014年10月11日のマディソン・スクエア・ガーデンのステージに立ち、再び輝きを放つまでのリアル・ストーリー。


 あまりふつうの人生ではお目にかかれないほどの、悲劇の連続。

 ひ弱な少年時代に経験した父の自殺。バンド結成。世界への挑戦と失敗。メンバーTAIJIさんの脱退。Toshiさんの洗脳と脱退を機に決断したバンドの解散。追い討ちをかけるように起こった元メンバーHIDEさんの死。脱退したTAIJIさんも、久々に演奏を共にした数ヵ月後に亡くなってしまう。そしてYOSHIKIさん自身も、音楽生命の危機に瀕するような傷を負っていた。

 日本の報道映像をふんだんに活用し、当時の日本に巻き起こったX JAPANを取り巻く社会現象ともいえる出来事の数々、特にToshiさんの洗脳からHIDEさんの死までの出来事が、YOSHIKIさんが封印していた心の生傷を開く。YOSHIKIさんは、改めて過去の出来事を見つめ直し、それらを事実と受け止め、そして乗り越え、前へと進む決意をするのだった。

 WOWOWで深夜に何気なくこの作品を見始めたんですが、見進めるにつれて、次第に体が震えてくるのを禁じえませんでした。
 X JAPANは、ある意味、信仰の対象。
 YOSHIKIさんも、亡くなったHIDEさんも、アイコンなのでしょう。
 目の前から居なくなってしまうと、埋め難いほどの大きな喪失感に苛まれるほどに、のめり込み、心を奪われてしまっている人たちが、少なからずいる。
 ボクには、そこまでのめり込む対象を持ち合わせていませんが、間違いなく、世界中の多くのX JAPANのマニアたちが、バンドを心のよりどころにしていることが見てとれました。

 93分と尺は短いですが、スタイリッシュで美しい映像と音楽、そして生々しくも濃密なバンドの運命が胸を打つ、至高の音楽ドキュメンタリー映画です。

●監督:スティーブン・キジャック ●音楽:X JAPAN