一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ブルーアワーにぶっ飛ばす

私的評価★★★★★★★★☆☆

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映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』公式サイトより引用

 (2019日本)

 30歳の自称売れっ子CMディレクター・砂田(夏帆さん)は、東京で日々仕事に明け暮れながらも、理解ある優しい夫もいて満ち足りた日々を送っている…ようにみえるが、口をひらけば悪態をつき、なにかあれば毒づいてばかりで心は完全に荒みきっている。
 ある日、病気の祖母を見舞うため、砂田は彼女のコンプレックスの根源である大嫌いな故郷に帰ることに。ついて来たのは、自由で天真爛漫な秘密の友だち清浦(シム・ウンギョンさん)。砂田は幼い頃、夜明け前に清浦と出会い、砂田が困った時には必ず清浦が現れてそばにいてくれた。しかし、故郷で2人を待ち受けていたのは、愛想は良いが愚痴っぽい母(南果歩さん)、骨董マニアで自分勝手な父(でんでんさん)、引きこもりがちで不気味な兄(黒田大輔さん)…再会した家族の前では、都会で身に着けた砂田の理論武装は全く通用しない…
 やがて全てを剥がされた時、見ようとしなかった本当の自分が顔を出す―。そして夕暮れに差し掛かる時間、清浦との別れが迫っていた…。 こんにちは、本当の自分。さようなら、なりたかったもう 一人の私―。
(映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』公式サイト「ストーリー」より引用)

www.blue-hour.jp


 ボクが丁寧に観てなかったせいかなぁ? 最後、あぁ〜、そうなん?てカンジに腰砕け。

 女の子じゃないボクには、微妙に分からない心情もあるんですが、30代になると、なりたかった自分になれないことを、渋々認めざるをえなくなる時期が来るのかなぁ? 自分の場合、それっていつだったっけ?
 焦燥に駆られ、こんな筈じゃ、こんな筈じゃ、ともがいてみても、ぶつける先のないイライラが募るばかり。
 そこへ、面倒くさくて先送りしていたことが、不意にアタマを過ぎる。一癖も二癖もある実家の父母、兄は苦手だが、入院している祖母は見舞いたい。
 重い腰を上げるには、強力な助っ人が必要ということか。

 なんで日本語ネイティブじゃない、シム・ウンギョンさんがお供なのかは、不明ですが、彼女のキャラクターは、とても面白いですね。砂田と清浦が似てな過ぎて、なんでウマが合うんだろうとも思ったんですが、全体的に陰鬱になりそうな砂田と実家の面々の間に入って、場をうまく和らげていて、大変良かったと思うのです。
 シム・ウンギョンさん、ちょっと気にしておきます。


 最後は、ダサくて逃げ回ってきていた自分を見つめ直し、たぶん、夕まぐれのブルーアワーをぶっ飛ばしながら、優しい夫の待つ家に帰っていくのでしょうね。明日の朝食べるパンを買って…(^^)

 まだ、砂田の人生はやっと始まったばかり。吹っ切れたように少し微笑んだ砂田の横顔が、印象的でした。


●監督・脚本:箱田優子