星よりも、遠くへ
私的評価★★★★★★★★★★
(2018日本)
東日本大震災の夜、大停電の被災地を満天の星が照らしていた。こんな星空を今まで見たことがない... 予想だにしない苦難とともに被災者たちが見上げたのは、星空という名の「宇宙」だった―。 震災の星空と被災者たちとの繋がりを描いた「星空とともに」の第二章となる、プラネタリウム版ドキュメンタリー作品。
(仙台市天文台公式サイト『震災特別番組』第二章「星よりも、遠くへ」~STORY~より引用)
www.sendai-astro.jp
倉敷科学センターのプラネタリウムで鑑賞。
ボクの場合、9年前の3.11の思い出は、9年前の3.10の思い出とともに蘇る。
震災の起こるおよそ24時間前、母が倒れた。
震災の起こった時刻、入院先のICUからHCUに移った母を、唇を震わせながら見守っていた。
病院から帰宅する車中で、父から入電。
父『津波が来る、言いょーるで!』
ボク『何をワケの分からんことを言ぃよんな!』
そのときは、母のことで頭が真っ白になっていて、父の言っていることの意味がまったく頭に入ってこなかった。
とんでもない規模の地震が列島を襲ったことを知ったのは、帰宅してテレビを見てからのことだった。
母の重篤な状況に追い込まれていたところへ、この世の終わりのような映像を目の当たりにしてしまったことで、心がすっかり冷たくなっていくのを感じていた。
あれから9年。
なんとか命拾いした母は、結局のところ、東日本を襲った震災のことをよく知らないまま歳を重ねてきた。
ある意味、それはそれで、幸せなのかもしれない。と、思う。
9年前の3.10と3.11で、ボクは確かに人生を、家族との向き合い方を、自身の気構えを、変えることになった。
命がある限り。
感謝とともに、生きていく。
今夜も、星空を見上げ、遠いかなたに思いを馳せながら。
●制作・著作/仙台市天文台(2017年)