ロシア・ハウス(The Russia House)
私的評価★★★★★★★★★☆
(1990アメリカ)
イギリス諜報部に謎の原稿が舞い込んだ。それは、〝ダンテ〟と名乗る作家によるもので、世界の防衛体制を揺るがす驚異的な内容が詳細に書き込まれていた。ことの真偽を確かめるため、CIAと協議するイギリス諜報部は、原稿の運び屋であるロシア人女性カーチャ(ミシェル・ファイファーさん)との接触を計画。スパイとしてイギリス人バーリー(ショーン・コネリーさん)をモスクワに送り込むのだが、そこには思わぬ誤算が隠されていた…
(DVDパッケージより引用)
2020年10月31日にショーン・コネリーさんが90歳で亡くなったとの報を受け、出演作を鑑賞しました。
もちろん、日本では007ジェームズ・ボンド役がイチバン馴染み深いのでしょうが、ボクはショーンさんが60歳当時の本作が大好きです。
〝ロシア・ハウス〟と呼ばれるイギリス諜報部に舞い込んだ3冊のノートをめぐって召喚された、イギリスの出版社社長バーリー・ブレア。
ノートは、ソ連・モスクワで開催中のイギリス・オーディオ・フェアの会場で、ロシア人女性カーチャがバーリー宛に届けたものだと言う。
心当たりのないバーリーは、尋問を受ける中で、かつてソ連の作家村で〝ダンテ〟と呼ばれる謎の男と交流があったことを告白する。
ロシア・ハウスは、バーリーを〝にわかスパイ〟に仕立て上げ、ソ連・レニングラードでカーチャと接触させることにしたが…。
というような流れを見れば、一見スパイ映画なのですが、実際は〝東西の国境を越えた禁断の恋愛〟を抒情性たっぷりに描いた、大人のロマンス映画です。
ダンテの情報をやり取りする中で、バーリーとカーチャは次第に惹かれ合っていきます。
しかし、ダンテが持ち込んだソ連の軍事機密に触れるノートを巡って、CIA、KGBも参戦した英・米・ソ三つ巴の諜報戦が繰り広げられ、二人は抜き差しならない状況に巻き込まれていきます。
いつ、誰が、どの組織に足をすくわれ、命を失うか分からない、ハラハラドキドキのサスペンス。
果たして、バーリーはロシア・ハウスの密命を成し遂げられるのか?
はたまたバーリーとカーチャの運命は?
何度見ても、温かい涙が静かにほほを伝ってしまいます。
素晴らしい映画を残してくださり、ありがとうございました。
ショーン・コネリーさんのご冥福をお祈り申し上げます。
●監督:Fred Schepisi フレッド・スケピシ