一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

咲-Saki-

私的評価★★★★★★☆☆☆☆

映画「咲-Saki-」 (通常版)[Blu-ray]

 (2017日本)

浜辺美波、浅川梨奈ら若手女優豪華共演の青春ストーリー。麻雀部の女子高校生たちが、ライバルがひしめく長野県予選に出場し、決勝戦で激戦を繰り広げるまでを描く。

 清澄高校1年生の咲(浜辺美波さん)は同級生の和(浅川梨奈さん)と出会い、部長の久(古畑星夏さん)の誘いもあって麻雀部に入部。旅館での合宿など切磋琢磨する日々を経て、彼女たちは全国高校麻雀大会の長野県予選に出場する。清澄高校は1回戦から順調に勝ち進み、決勝戦で龍門渕高校、風越女子高校、鶴賀学園といったライバルの強豪校と対決することになる。大将を務める咲は、現在は離れて暮らし、東京の高校で麻雀部に所属する姉に会うため、全国大会を目指して勝負に挑む。
WOWOWの番組内容から引用)

麻雀が競技として浸透している架空の社会を舞台にした小林立の人気コミックを、小沼雄一監督が実写化したTVドラマ版全4話+特別編から続く劇場版。TV版では浜辺演じる咲が在籍する清澄高校を中心としていたが、本作では龍門渕高校、風越女子高校、鶴賀学園らのライバル校を交えた決勝戦が描かれる。浜辺、浅川、山田杏奈ほか、ドラマや映画で活躍する若手女優たちが集結し、大会場面では麻雀を知らない人でも分かりやすい息詰まる攻防がスリリングに展開。初々しい姿で登場する浜辺の堂々たる座長ぶりも必見だ。
WOWOWの公式サイトから引用)


 えっと…TVシリーズ4話+TV特番1話を受けての映画なのね。
 放映局見たらさ、中四国だけやってないじゃんかヽ(`Д´)ノプンプン
 映画だけ観ると、前段の入部の経緯とか合宿の様子とかが全部断片的な回想で説明されるんで、なんかこう〝いきなり感〟満点な展開なのね。
 よく分かんないまま、いきなりインターハイ長野県予選です、とか。
 え? インターハイ? インハイって〝全国高等学校総合体育大会〟だよね? 競技麻雀とは言うけど、麻雀て、体育? 体育なの? 体育会系の部活だったの? 囲碁将棋とかも、もしかしてインハイ出れるの? イヤイヤイヤイヤ……はぁ~(*´Д`)だね。

 まぁ、これも、「高校の部活映画でいいんかなぁ?」と思いつつ……部活映画って、その部活でやってること自体の楽しさを見せてくれる要素も大きいと思うんだけど、この映画見て、麻雀のこと「面白そう」とか、「スゲー楽しそう」ってなるとは、とても思えないんですよね。この映画で、麻雀のルールとか、楽しさとか、伝わる? WOWOWの公式サイトに『大会場面では麻雀を知らない人でも分かりやすい息詰まる攻防がスリリングに展開』て説明してるけど、がぜん無理じゃろ? 〝息詰まる攻防〟に見えるのは、画面から伝わる選手の雰囲気とスコアの得点差だけで、競技中なんで点差がついていくのかさっぱり見えてこんし、最後、何点差まで一発で逆転可能なんかも全然分からんし、そりゃ麻雀知らない人には、何もスリリングな展開について分からんかったと思うよ。

 そんなこんなで、中身については、さらにもう少しツッコミ入れたい、ワケです。

 麻雀大好きだったオヤジなら、大技飛び出した瞬間に間髪入れず『マンガじゃ!』って苦笑いしながらも、しばし見続けるんじゃろけど、あの人は他人さんの作る手を見てるんが好きじゃったけん、この映画みたいに誰がどんな手を作ってるかさっぱり見えない展開じゃと、『面白ないわ』ゆーて、すぐにチャンネル変えてまってたと思うんよなぁ。

 とりあえず、この映画でやってるのは、麻雀じゃあねーわな、と思う。

 わずか半荘2回の間に、いったい何回〝カン(槓)〟やら〝リンシャンカイホウ(嶺上開花)〟やら〝チャンカン(槍槓)〟やら〝ハイテイラオユエ(海底撈月)〟やら、出てくるねんな。
 そんなん出来るん、どれほどの低確率やろと思うし、しかも〝嶺上開花使い〟と〝海底撈月使い〟の魔法使い同士の対戦みたいな展開て、もはや麻雀漫画としても、設定が雑過ぎると思うな。
 競技麻雀じゃなくて、イカサマ有りの鉄火場だったとしても、フツーに2回目のリンシャンやらハイテイやらが出た時点で、誰かが「イカサマだーっ!」って怒鳴り出す展開でしょ、って思う。

 でも、麻雀知らない人が見ても、なんかしら「凄そう」って思わせるカリスマ性というか、箔付けのための〝レッテル貼り〟が必要なんだろね。
 実はこの映画って、麻雀をまったく知らない人にとっては、旬な若手女優さんたちが大挙出演してること以外、楽しみないんじゃろね?
 そんなん思うと、麻雀の楽しさがすっかりスポイルされてる気がして、残念な映画ってことになるわいね。

 ということで、麻雀にかける青春かどーかもよく分からんし、女子高生ばっかり出てきて、微妙に百合要素盛り込んだ友情物語みたいなんかどーなんかもよく分からんし、なんか不思議なんだけどさ。
 最後に咲(浜辺美波さん)がツモ(自摸)アガリしたところで、なぜか爽快な気分というか、大いなるカタルシスのようなモンを感じてしまったのは、何なんじゃろね?^^;
 それは、咲がおそらく一生に一度もお目にかかれないような凄い大技繰り出したからじゃなくて、花びらのCGいっぱいひらひらさせながら可憐にツモったからでもなくて、卓を囲んだ4人が最後まで死力を尽くして勝負してたことに感動したから……だと思いたいですぅ。
 てか、負けても部員同士誰も責めないとか、対戦者同士互いに健闘を称え合うとか、なんかやっぱ部活って感じなのが、不思議っちゃ不思議。なんの競技をしてたかも良く分からんかったのに、ねwww


 クレジットに懐かしい名前を発見。
 〝バビィ〟こと馬場裕一プロは、学生時代よく読んでた、〝片チン〟こと片山まさゆき氏の漫画『ぎゅわんぶらあ自己中心派』や『スーパーヅガン』に雀プロの〝ババプロ〟として頻繁に登場してた方です。まだ現役のプロなのかしら?

 ちなみに、ボクが一生に一度くらいと思われる役を和了したのは、〝チューレンポートー(九蓮宝燈)〟と〝国士無双のフリテン(振聴)無し十三面待ち〟くらいかな? もう、麻雀やめて20年近くなるし、もうアタマしんどいんで二度とやらんけどね。


●監督:小沼雄一 ●脚本:森ハヤシ ●音楽:T$UYO$HI(The BONEZ) ●原作:小林立(コミック『咲-Saki-』/スクウェア・エニックスヤングガンガン」掲載) ●麻雀指導:ケネス徳田、黒木真生、馬場裕一/バビロン