一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

Bittersand

私的評価★★★★★★★★☆☆

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映画『Bittersand』オフィシャルサイトより引用

 (2021日本)

クラスの相関図に隠された秘密──
7年前の真実に迫る“青春ミステリー”

 吉原暁人(井上祐貴さん)25才、さえない日々を送るサラリーマン。
 ある日、高校時代に想いを寄せていた石川絵莉子(木下彩音さん)と、思いがけない再会を果たす。しかし彼女にとって、暁人を含めたその頃の思い出はすべて、忌まわしい“黒板事件”によって、拒絶すべき過去となっていた。そして暁人も、その頃から自分が一歩も前に進めていないことに気付く。
 悪友井葉(萩原利久さん)の力を借り、暁人は自分のため、そして絵莉子のために、「記憶を塗り替える」企てを進めるが…。

(映画『Bittersand』オフィシャルサイト「Story」より引用)

bittersand.net


 忌まわしい過去は、歳を重ねても、なかなか記憶の片隅から消えてくれない。
 むしろ、何かきっかけがあれば、ついつい思い起こしてしまう、厄介なモノだ。

 ボクは、小中学校時代の同窓会には顔を出したくない人だ。
 できれば、同窓生とは誰とも顔を合わせないで済むなら、一生それでイイと思っている人だ。
 (まぁ、そもそも招待状すら送ってもらえてない事実はあるけどね^^;)
 だが、微妙に当時と近い場所に住んでいると、たまさか出会ってしまうことも、ままあるワケで。
 そんな時、相手は何気に悪意のない懐かしみだけを押し付けて来て、屈託なく話しかけてくるんだけれど、こっちは内心穏やかではいられない。当時の同級生たちは、誰も信じられなかったからだ。

 きっぱりと、この映画のように、解決できる事件があれば、過去の記憶を塗り替えるチャンスはあったかも知れない。
 だが、現実は、しばしばビターなだけだ。
 きっとボクは、ビターな記憶に囚われたまま、この先も過ごしていくだけだろう。



 あだしごとはさておき。


 若干強引さを感じるところもあるけど、学生時代にハマってた小峰元さんの青春ミステリのような、ユーモアとほろ苦さを湛えた作品だった。
 全体的な雰囲気、7年前の記憶と現在とを行き来するストーリーの流れも分かりやすく整理されていて、安心してのめり込めた。

 とは言え、同窓会で7年前の黒板事件の真相を暴く過程は、決してキモチの良いモノではなかった。やはり、そもそも7年前に事件が起きなければ、だれもイヤな思いを引きずらずに済んだと思うワケで。

 でも、キレイ事だけじゃ、な。
 過去に決着をつけなきゃ前に進めないヤツがいたワケだから。
 うん、最後は〝ビターのちハッピー〟で、イイのかな?

 最後に絵莉子は、「なんでそんなに簡単に気持ちを翻したのか?」って思ったんだけど、エンドロールの先に、答えがあった。
 でも、アレ、蛇足?
 当時は、「余計なことしやがって、面倒くさくなっただけじゃねーか」みたいな感情だったのかしら?
 人のキモチに鈍感なオッサンには、ナゾ、だな。





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※主題歌が良かった。

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●監督・脚本:杉岡知哉 ●主題歌:add『ニヒルな月』