一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!

私的評価★★★★★☆☆☆☆☆

踊る大捜査線 THE MOVIE ~湾岸署史上最悪の3日間!~ [DVD]

 (1998日本)

 テレビシリーズは、放映後の方が人気がアップしたようです。かくいうボクも、レンタルビデオで借りて見た口で、初回放映当時は、帰宅時間がまちまちだったこともあって、ただの1回でもまともに見たことはありませんでした。

 またまた、主役にケチつけてなんですが、織田裕二さんは、好きな俳優さんではないのです。彼の演じた役柄で唯一好きなのは、同じフジの「振り向けば奴がいる」の柴医師です。この役だけは、ほかの出演作のように能天気バカではないので、役者さんだなぁ、と感心したものです。ということは、使う側に問題があるのでしょうね。本作の青島刑事役があまりに色がつきすぎて、ほかのドラマでもどこか青島刑事っぽさが感じられてイヤになってしまうのかも知れないです。

 織田さんは、どうも、「踊る大捜査線」シリーズに今後出演しないことを決めた模様です。ま、いかりや長介さんが亡くなったり、いろいろ理由はあったのだとは思いますが、彼の今後の役者生活にとっては、いい転機かも知れません。次回作は、ユースケ・サンタマリアさんを主演に据えた外伝的作品、「交渉人・真下正義」になるようです。

 このシリーズは、織田さん以外の脇役が豪華なところが好きです。恩田すみれ刑事役の深津絵里さんは、大好きな女優さんです。JCBのCMシリーズなんか、胸がキュンとなりますね。かわいいと思いますし、役者としてもうまい人だと思います。和久刑事のちの和久指導員役のいかりや長介さんも、大好きな役者さんです。キリンラガーのCMで、ウッド・ベースを奏でてたシーン、無茶苦茶渋かったです。ザ・ドリフターズでもベーシストでした。惜しい方を失いましたね。ご冥福をお祈りしています。ほかにも佐戸井けん太さん、北村総一朗さん、水野美紀さん、挙げればキリがないですが、みんな好きです。柳葉敏郎さんは、ま、どうでもいいかな…(^^;)。

 本作は、「事件は会議室で起きてんじゃない!現場で起きてんだ!!」というシーンが繰り返し予告CMで流れて話題になりましたし、流行語にもなりました。青島刑事が、叩き上げの現場の警察官を無視する官僚主導の警視庁本店のやり方に反発する象徴的なシーンですね。うーん、実はこのシリーズ、コメディタッチであるせいもあって、官僚主義に対する反発を描いていても、半端な気がするんですよね。単に青島刑事の正義感を際立たせるためのアンチ・テーゼとして提示されているだけで、別に官僚主義を叩くのがテーマの話じゃない、そういうことです。そう思うと、うざったいですね。純粋に刑事が犯人捕まえるドラマの方が、話がスッキリしてていいという気もします。

 あと、青島刑事が煙突から流れる赤い煙を見て、「天国と地獄」と呟くシーンがあります。青島刑事は、黒澤映画を見てたという設定なんでしょうね? 黒澤作品にしては珍しい現代劇で、誘拐をテーマにしたサスペンスの金字塔的映画のタイトルなんですね。この映画以後、誘拐事件を描く映画やテレビドラマは、殆どこの映画のプロットを模倣してきたと言われています。この「天国と地獄」はモノクロ映画なんですが、その中の1シーンに、フィルムに色付けしたピンクの煙がたなびくシーンがあって、非常に印象的なのです。いわゆる黒澤作品に対するオマージュということなんでしょうね。

 ま、映画としては、可もなく不可もなく、ほどほどの作品です。でも、繰り返し見てるのは、何度も書きますが、脇役の演技に惹かれるものがあるからです。

●監督:本広克行 ●脚本:君塚良一

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