一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

PERFECT BLUE

私的評価★★★★★★★☆☆☆

PERFECT BLUE [DVD]

 (1998日本)

「あなた…誰なの」

 人気アイドルグループ“チャム”の一員だった霧越未麻は、グループを脱退して女優への転身を図りますが、ある日、熱狂的な“アイドル・未麻”のマニアックなファンから脅迫めいたFAXを受け取ります。元アイドルのマネージャー・ルミの手を借りて、webサイトへのアクセスを試みた未麻は、“アイドル・未麻”が書いている日記のサイトを発見します。しかし、そこには彼女しか知らないはずの内容が仔細に書かれており、その日から未麻は、得体の知れない謎のストーカーの影に怯え、次第に現実と虚構の境界をさまようようになります…。


 冒頭からアイドル・ヲタクたちの生態が描かれ、かなりマニアックな印象です。未麻の出演するサイコ・サスペンス・ドラマ“ダブル・バインド”の事件と現実の猟奇殺人事件がシンクロし、何度も悪夢から目覚めるシーンでブレイクするため、見ている者も本編のストーリーと劇中劇のストーリー、そして未麻の妄想との境を見失い、とても不安な気持ちにさせられます。その不安がストーリーの恐怖をずんずんと盛り上げていくのです。

 ボクは一度見ただけでは、ストーリーをよく理解できなかったです。しかし、徐々に恐怖を募らせる展開に引き込まれ、最後には見事に「あっ」と言わされました。「あっ」と言わされたあとも、その謎解きのシーンの映像のエグさにかなり魅入られてしまい、また見てしまう、という感じです。かなり、ぞっとさせられます。アニメはほとんど見ないボクですが、この作品の演出には参りました。一流のサスペンスではないでしょうか?

 その他雑感…(1)最初のチャムのステージは驚きました。アイドルっぽい曲をわざわざ作ってるんですよね? おまけに振り付け…実際にプロの振付師が振り付けしているようです。(2)アニメでよかった…実写では目をそむけるほど凄惨なシーンがけっこう多いです。アニメだから、こんなにスタイリッシュに仕上げられたんじゃないかな?(3)この作品が発表されたころは、まだインターネットが身近ではなかったんですね。未麻はホームページのことがさっぱり分からないコでした。

 ところで、惜しいことに動きの激しいシーンでは、残像でかなり目が疲れてしまいます。コマが足りていないのでしょうか?

 蛇足ですが、今入手可能な本作のDVDは定価3,990円です。ボクはお店で散々悩んだ挙句、2回も買うのを見合わせ、3回目で15%オフのセールになったので定価8,190円だった旧作を買いました。LDのときからアニメは実写に比べて異常に価格が高いと思っていただけに、今の価格設定には拍子抜けしてしまいます。

●監督:今敏 ●原作:竹内義和(小説「パーフェクト・ブルー 1998」)