一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ボクの女に手を出すな

私的評価★★★★★★★★☆☆

ボクの女に手を出すな [DVD]

 (1986日本)

 天涯孤独の元不良少女黒田ひとみ(小泉今日子さん)は、クビになったスーパーに深夜忍び込み、ウィスキーを盗んで逃げるところを見つかり、警察に追われることに…そこへたまたま車を乗りつけた弁護士・加島(石橋凌さん)に救われたひとみは、彼の紹介で幼くして大富豪の当主となった米倉進(山田哲平さん)の家庭教師をすることになります。ところが、小学一年生の進は、学校にも行かず、わがまま放題に育っており、なかなかひとみにも心を開こうとはしません。ひとみは、米倉家の格式の壁にぶつかり、次第に息苦しさを覚え、加島に「東京に戻りたい」と訴えます。しかし、加島は「生活をやり直すために来たんだろう?」とひとみを説得し、ひとみのやり方で接するようにアドヴァイスを送りました。やがて、ひとみの毅然とした態度に心を開き始めた進でしたが、そんなふたりの元に、ひとみのかつての悪友・会田(山田辰夫さん)が現れ、言葉巧みにふたりを車で連れ出しました。会田の狙いは進を誘拐することだったのです。会田の作った脅迫文を読み上げたひとみは、図らずも進誘拐の犯人にされてしまい…。


 80年代は、アイドル映画満開の時代だったなと思います。この作品もそんな映画のひとつかなぁ…なんて思いながら見始めると、意外としっかり出来ていて、女優・小泉今日子さんの若き日の才能の息吹を感じずにはいられません。面白かったです。ただ、クレジットが終わって最後の最後に、彼女の笑顔のアップで終わるのは、ちょっと興醒めでした。せっかくの雰囲気を壊してしまう暴挙…やはり、アイドル映画であったか、と思わずにはいられませんでした。事件が終わって、放心状態だったのだから、最後はハグで終わるのがスマートだったんではないかと思うんだが…。ま、それでも面白かったから、イイか…。

 さて、サスペンスとしての出来、なかなかです。幼い進を守りながら、逃亡を続けるひとみ…犯人に追いかけられるシーンの手に汗握るようなギリギリのしのぎ、誰が味方で誰が敵か混沌としてくる展開に主人公が次第に追い詰められていく…昨今の2時間サスペンスよりはずっとドキドキ感が上でした。考えてみれば、ひとみは作品の当初から、ずっと逃げっ放しだったんだね。

 ところで、進少年とひとみの絆が深まっていく様子が、サスペンスの部分に隠れてしまうでもなく、さりとて必要以上に突出するでもなく、とてもさりげなく表現されているような気がします。それがとても好感を持てる部分なんです。中原監督のバランス感覚の良さを感じました。

 しかし、なんでこんなタイトルなんでしょうネ? 映画を見終わったら分かると思います。分かるかな? ボクはすぐにはピンと来なかったけど…。

●監督:中原俊 ●原作:桑原譲太郎(小説「ボクの女に手を出すな」)