一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

RUSH!

私的評価★★★☆☆☆☆☆☆☆

RUSH! [DVD]

 (2001日本)

 焼き肉チェーン店で働く昌也(哀川翔さん)は、韓国人オーナー・孫浩烈(峰岸徹さん)の娘・ソヨン(キム・ユンジンさん)と、身勝手な父親から5千万円をふんだくろうと狂言誘拐を企てました。ところが、悪徳刑事の成瀬(大杉漣さん)が孫を誤って射殺し、身代金の5千万円を持って行ったことから事態は急変、昌也とソヨンは孫殺しの罪で警察に追われることになります。言葉が通じないもどかしさからふたりは、いがみ合い、なじり合いながらも逃避行を続けますが…。


 あいかわ翔さんの製作総指揮で、柳葉敏郎さん、阿部寛さん、麻生久美子さん、千原浩史さん、竹内力さん、青田典子さん、中野英雄さんというなかなか芸達者な顔ぶれなのに、なぜかマイナーなイメージの映画です。大笑いできるでもなく、ハラハラするでもなく、どっちかというとイライラするかも…。

 とにかく無茶苦茶です。上のストーリーだけ見ると、映画やドラマではよくあるドタバタ追いかけっこのようですが、展開は実に“ありえません”。時間も空間も超越して、パラレルワールドのごときストーリーが、継ぎ接ぎだらけで、終わりがないかのように続くのです。えっ?昌也死んだの?と思ったら、死んでなかったり、もうワケが分からん…。二転三転する5千万円の行方も、時空を無視したワケの分からん展開で、どうでもよくなってきます。なにを楽しめばいいのか、まったく理解できません。いや、理屈ではないのでしょうね、きっと…純粋に頭カラッポにして、無茶苦茶な展開を笑い飛ばして…でも、なんだか許せん気がします。ボクも歳かな? とりあえず、一粒で○倍おいしい、と思えば楽しめるかも…。

 監督の瀬々敬久さんには、豊川悦司さんと井川遥さんの主演による、ドッグ・スター [DVD]*1という映画があります。この映画、死んだ犬が人間の姿を借りて、昔可愛がってくれた女の子の元を訪れるというファンタジーなのですが、最後にいきなり時空を超えてしまいます。それはあたかも“夢オチ”であるかのような結末で、そこまで盛り上がっていた感情が一気に冷めてしまう、という苦い思いをさせられました。そうなのです。本作も結末のトーンはまったく違うとはいえ、ドッグ・スター [DVD]に雰囲気が似ているのです。なんだかねぇ…豪華キャストによるB級映画、もしくはVシネ?といった感じでしょうか?

●監督:瀬々敬久

*1:最後で妙な映像を挟まずに、泣かせて終わってくれたら最高にイイ映画だったのに…。