Sweet Rain 死神の精度
私的評価★★★★★★★★☆☆
(2008日本)
金城武、小西真奈美らが競演。人気作家・伊坂幸太郎の連作短編集「死神の精度」を原作とし、風変わりな死神と、死が予定されている人々の交流を描いたファンタジードラマ。
死が予定されている人の前に現われて相手を7日間観察した後、その死を“実行”にするか“見送り”にするかの判定を下す、死神の千葉(金城武さん)。雨男の彼は今まで晴れた青空を眺めたためしがない。そんな彼の今回の観察相手となるのは、27歳の薄幸なOL、藤木一恵(小西真奈美さん)。ある電機メーカーで苦情処理係をする彼女は、最近あるクレーマーからの執拗な電話に悩まされていた。そんな彼女にほだされた千葉は、珍しく“見送り”の判定を下すが……。
(WOWOWの番組内容から引用)
伊坂幸太郎さんの原作ですが、ミステリー・テイストのファンタジーですね。
原作は『死神の精度』『死神と藤田』『吹雪に死神』『恋愛で死神』『旅路を死神』『死神対老女』の6話連作だそうですが、映画はこのうち『死神の精度』『死神と藤田』『死神対老女』の3話連作のようです。
映画の内容は、たぶん半世紀弱くらいの時空を飛び越えながら、各時代の〝対象〟を金城さん演じる死神の千葉が観察し、それぞれの生死の〝判定〟を下していくのですが、各エピソード単体でもロマンスあり、アクションあり、ドラマありで、なかなか面白いです。ですが、3話全体を通して千葉が〝人生の意味〟を知る過程、心境の変化を追いかけるところが肝でしょうね。
千葉をはじめ死神は何人も登場するんですが、〝対象〟の年齢に関係なく〝死に値する人生だったか〟をそれぞれの死神が独自の判断で〝判定〟するため、おそらく死神の経験値の度数によって、判定には揺らぎがあると思われます。
特に千葉は〝家族〟だとか〝人生〟だとかに関心がなく、人の死に意味はないと考えているようでしたが、小西さん演じる藤木一恵に接触して話を聞くうちに、なにやら少しずつ〝人間くさく〟なっていくように見受けられました。
千葉の目を通して、〝生きる意味〟だとか〝人生で大切なもの〟だとかを改めて考えさせられる、そんな感じの作品です。
最後に千葉が目にした景色は、千葉にとっても〝大切な景色〟になったことでしょう。
なんとも不思議な味わいながら、胸を打つ佳作でした。
富司純子さんの演技がすばらしかったです。
※伊坂幸太郎さんの映画化作品。
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