ねらわれた学園
私的評価★★★★★★☆☆☆☆
(1997日本)
1977年、NHKで“未来からの挑戦*1”というドラマが放映されました。あまりの面白さに、あっというまにハマってしまいましたが、今となっては、ほとんど内容を覚えていないのです。ただ、番組のクレジットに、眉村卓さんの“地獄の才能”と“ねらわれた学園”が原作であることが流れていたので、眉村さんの文庫本を読み漁ることになり、いまでも書棚に当時読んだ本が残っています。SFは読まないボクですが、眉村さんの作品は、どれもおもしろく読めました。
“ねらわれた学園”は、これまで何度か映像化されています。角川映画が立ち上がってからは、テレビで原田知世さん、映画で薬師丸ひろ子さん*2がそれぞれ主演して映像化されています。本作は1997年、テレビ東京系で村田和美さんと柏原収史さんという同じ主演*3でテレビ放送されたのを受けて、劇場映画化されたものです。
1997年11月11日、高校の生徒会役員選挙の真っ最中、楠本和美(村田和美さん)は教卓から落ちた花瓶で怪我をしそうになったところを、クラスメイトの関耕児(柏原収史さん)に助けられます。選挙の結果、生徒会長に高見沢みちる(佐伯日菜子さん)が選ばれ、風紀を乱した生徒を取り締まる巡回パトロールが実施されます。ところが、行き過ぎとも思える苛烈な取り締まりに反対したクラスメイトたちが、次々と姿を消し始め、学園で何かが起きていると感じた和美と関は、高見沢みちるの調査を開始します。やがて、彼女が未来から送り込まれた抹殺者だったことが分かり、和美と関は高見沢みちるに立ち向かうことになります。そしてすべてが解決した1997年11月11日、花瓶は教室の床に落ちて割れたのです。そこには関耕児の姿はありませんでした。
テレビドラマ版の方は、少々マニアックな印象のストーリーでしたが、本作の方は、正調ハードSFといった内容です。“ねらわれた学園”は、学園パトロールによって、個が押しつぶされる怖さ、といった描写が共通して描かれますが、本作はかなり背筋をゾクゾクさせられます。佐伯日菜子さんの大きな瞳は、迫力ありますよねぇ…怖い役やらせたら決まります。CGですが、雲の切れ間から射す光の帯が、ぽっかりと開いた校舎の穴から校庭を照らす様、ゾッとさせられます。でも、なぜか「きれいだな」と思ったりして…。そして、思い出すら失って元の時間に戻ってしまう展開は、じんわりと泣けるのです。
ま、映像化されるたびに、さまざまな解釈で演出される“ねらわれた学園”ですが、“未来からの挑戦”がとても良かった、という印象だけが心に引っかかっているので、どうしても採点は低めです。でも、この作品で初めて“ねらわれた学園”を見る人には、おもしろく感じられるのではないでしょうか?
*1:“未来からの挑戦”は全20回中2回分のみ。他に“ぼくとマリの時間旅行”“ポンコツロボット太平記”を収録。
*2:角川映画版、今見ると少々クサい感じがしますが、アイドル映画なのでしかたないかも…。
*3:馬淵英里可さんが高見沢みちる役にキャストされています。無理やり2枚に収めているので転送レート低そう…画質悪いです。