一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

無問題

私的評価★★★★★★★☆☆☆

無問題(モウマンタイ) [DVD]

 (1999香港/日本)

「いいかげん、大人になってよォ!」

 って、玲子(佐藤康恵さん)に言われちゃいました、大二郎(岡村隆史さん)くん。グサッと胸に突き刺さっちゃいました、わたし…^^;)。


 香港映画ヲタクの川口大二郎(岡村隆史さん)がある日目覚めると、恋人・玲子(佐藤康恵さん)が置き手紙を残していなくなっていました。彼女は憧れのジャッキー・チェンの会社の仕事が決まり、大二郎を捨てひとりで香港へ旅立ったのです。魂の抜け殻になった大二郎、香港で映画のスタントマンをしている友人・健一を頼りに、玲子のあとを追って香港へ向かいます。健一のコネで撮影所に潜り込んだ大二郎は、憧れのサモ・ハン・キンポーさんと出会い、強烈な回し蹴りをくらっても「無問題(モウマンタイ)」と言って立ち上がる根性を見せると、大二郎と体格の似た映画スターのスタントの仕事に抜擢されます。スタントの仕事を続けていくうち、大二郎は撮影所で玲子と久々の再会を果たしますが、彼女との関係は全くの空回りでした。そんなある日、大二郎のアパートに恋人を追って不法入国し、警察に追われている中国人美少女・リュー・チン(ジェシカ・ソンさん)が逃げこんで来ました。


 玲子に冷たくされる大二郎に、ついつい切なさを覚えてしまったのです。日本でのTVスポットでは、岡村さんの初主演映画という話題が先行して、なんだかお笑い芸人の出る映画だからレベルが低い、みたいな評価を友人たちから聞いたことがあるのですが、実は笑いを交えながらも切ない恋愛映画の佳作だったのです。映画の中で流れる音楽のトーンがとっても暖かく、心地いいんです。香港の街並みなどでも、派手さを抑えた控えめな映像で、しっとりしたアジアの街の雰囲気をかもし出していて、とても心地よかったりします。つくづく、香港の監督さんの作品でよかった、そう思います。

 大二郎とリュー・チンは、一緒に彼女の恋人を探すうちに、お互いに惹かれあっていきますが、言葉が分からないため、お互いの気持ちが分かりません。おまけに、ふたりの気持ちにジェラシーを感じた玲子は、リュー・チンの言葉をわざと間違えて大二郎に通訳し、ふたりが結ばれないように邪魔してしまいます。ますます、胸が痛み、切なくなってしまいます。結局、大二郎はどちらとハッピーエンドになるんだろうと、気を揉んでしまいます。

 大二郎が玲子からリュー・チンに心変わりしていく過程が、とても丁寧に描かれていて、好感を持てます。玲子のヤキモチも含めて、とっても分かりやすい恋愛映画かも知れません。大二郎を演じた岡村さんのキャラづくりが、恋愛オンチなモテナイ男をリアルに見せていて、とても共感を覚えてしまった自分が、ちょっと情けなかったりして…。

 ところで、日本語部分まで吹き替え調のアフレコなのは、ところどころ違和感覚えてしまいました。とくに、大二郎のおかんのセリフ…完全に吹き替えに聞こえます。

●監督:アルフレッド・チョン