キューティーハニー

私的評価★★★★★★☆☆☆☆

　（2003日本）

　実は、アニメの方はほとんど見たことないんです。いやね、年代的に初めてのアニメ化のときは小学生だったワケですが、恥ずかしくて見てられなかったのを記憶してます。なので、ほとんど見てないのです。もちろん、その後の再アニメ化に至ってはまったく見ていません。あ、監督の庵野秀明さんは“新世紀エヴァンゲリオン”の監督で有名なんだそうですが、エヴァも見てません。基本的にアニメは、積極的には見ないんです。決して嫌いなワケではないですけどね…。

　如月ハニー（佐藤江梨子さん）は、上司やお局OLにいじめられながらも明るく振舞うドジな派遣OLでしたが、その正体は“Iシステム”により何にでも変身し、無敵のパワーを発揮するアンドロイド“キューティーハニー”だったのです。ある日、“Iシステム”の研究をする宇津木博士（京本政樹さん）が、悪の秘密結社“パンサークロー”に誘拐されました。博士を救出するため、ハニーは謎の新聞記者・早見青児（村上淳さん）と、泣く女が嫌いで百発百中の銃の腕前を持つ硬派の警視庁刑事・秋夏子（市川実日子さん）と組んで、博士が囚われているジルタワーに乗り込みます。そこではパンサークローの刺客が、次々とハニーを待ち受けていたのでした。

　仮面ライダークウガ以降の特撮ヒーロー物の最近のトレンドに馴らされていたので、それほど違和感はなかったですが、まぁ、アニメちっくな濃ゆい特撮ですね。でも、意外とスタイリッシュな印象を受けました。

　ハニーのキャラは、サトエリ・ヴァージョンなんでしょうねぇ、きっと。おにぎりがエネルギー源で、仕事前にデスクで袋いっぱいのコンビニおにぎりを平らげるシーンとか、フツーなら、あのスタイルのコのやるキャラじゃないところですが、サトエリだと妙に納得してしまいます。あとねぇ、ハニーが能天気ぶっていながら周囲の人たちにすごく気を遣ってて、なかなか仲間に入れないというあたりの設定は、もしかしたらサトエリの実キャラまんまなのではないかと思って、ちょっと胸痛みました。なんかそんな話をテレビで見たような気がしたので…。

　パンサークローのキャストが、また濃ゆいんですね。篠井英介さん、及川光博さん、片桐はいりさん、手塚とおるさん…いやぁ、ここまで濃いぃキャストだと、嬉しいですね。及川さんなんか、戦闘の前に何故かマイク片手に1曲ブチかましてくれたりして、おいおい、サービス満点かい？て感じです。パンサークローの首領シスター・ジル（篠井英介さん）の忠実なる執事（手塚とおるさん）の最後の独白、「永遠にジル様にお仕えいたします…」というシーンは、思わずハッとさせられるほど、カッコよかったです。このシーンは、演出もすばらしかったです。でも、篠井さんの演技だけが、意外とアッサリめだったのは…特殊メイクのせいもあって、誰か分からんかったくらいだから…。

　市川実日子さん、お姉さんの実和子さんも好きなんですけど、妹の実日子さんも演技がうまくて好きですね。お硬い夏子が青児の部屋で地酒飲んでハニーとともにいきなりカラオケで盛り上がってしまうシーンは、ほっとさせられました。一番いいシーンかも知れません。あ、でも、一番いいシーンは、ベテランの吉田日出子さん演じる掃除のおばちゃん鬼谷京子が、会社でのハニーの唯一の理解者で、ときどきおにぎりの差し入れをしている、というエピソードかも知れません。吉田さんは最近いろんな映画で脇役を演じていらっしゃいますが、この方が画面に出てくると、心底ホッとしますよね。いい女優さんです。

●監督：庵野秀明　●原作：永井豪（コミック「キューティーハニー」）　●特技監督：神谷誠