一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

電送人間

私的評価★★★★★★★☆☆☆

電送人間  [東宝DVD名作セレクション]

 (1960日本)

 東宝特撮変身人間シリーズ第2弾です。

 なぜかLDも持ってます。


 世間を騒がせた銃剣魔殺人事件の第一の被害者・ブローカーの塚本が、遊園地のオバケ屋敷「悪魔の洞窟」で殺されました。洞窟内に犯人の姿は認められず、塚本は、旧日本軍の認識票と「軍用行李二号の件でご相談有り」と書かれた、謎のメモを所持していました。現場で小さな針金状の物体を拾った東都新聞の科学担当記者桐岡(鶴田浩二さん)は、遺留品が真空管の働きをもつクライオトロンという物質で将来トランジスタにとって代わるべきものながら、絶対温度4.2度という驚くべき低温を保たねば正常に動作しないという欠点がある物質であることをつきとめます。続いて第二の事件では、軍国キャバレーの経営者の隆昌元(田島義文さん)が、事務所で殺されました。桐岡は友人の小林警部(平田昭彦さん)と共に犯人を芝浦の倉庫に追いつめましたが、犯人は倉庫に火を放ち、その中で消え失せてしまったのです。桐岡は、ふたりの被害者と戦時中同じ隊にいた大西(河津清三郎さん)と滝(堺左千夫さん)を訪ね、敗戦直後のドサクサに金塊を隠匿しようと図った4人が、部下の須藤兵長と同行していた仁木博士に気付かれ、ふたりを洞窟内に生き埋めにしたことを知らされます。須藤兵長の復讐が、仁木博士の研究である物体の電送技術と関連していると睨んだ桐岡は、犯人が消えた倉庫の焼け跡から大型の冷却機械が発見された理由に気付きます。桐岡は冷却機械メーカーに勤務する中条明子(白川由美さん)を訪ね、軽井沢の牧場主の中本(中丸忠雄さん)という男が、最近4台の冷却機械を購入したことを知りました。


 電送人間って、変身人間シリーズでは人気が低くて、ランクも下に見られているそうなんです。主役の鶴田浩二さんは、確か前年くらいに、東宝から東映に移籍しています。彼の演技が浮いている、という人もいます。また、監督の福田純さんの演出も他の2作の本多猪四郎監督と比較され、下に見られているそうなのです。でも、ボクが生まれる前の映画です。そんな古い時代の話は知りませんし、分かりません。実はボク自身は、3作の中では、本作が一番好きなんです。電送人間となった犯罪者・須藤兵長の感情にいくばくかの共感を覚えるからです。他の2作の場合、液体人間は俳優さんが演じていないので、感情移入しづらいし、ガス人間は陰気なストーリーが好きになれないというのがマイナス評価の要因で、それに比べれば、けっこう明快なストーリーだと思うのです。

 また、特撮もけっこうイイと思うんですけどね。列車の爆発なんか、本物が爆発したと勘違いさせられました。電送人間の顔が妙に青白く、ときどき走査線のノイズが入ったり、全身が青く輝きながら走ったりとか、けっこう演出も細部にこだわっている印象を受けました。

 しかし、巨大な冷却装置を電送先に予め送っておかないといけない、という設定は、なんともいえないですね。おもしろいとゆーか、間抜けとゆーか、トランジスタ代わりのクライオトロンが針金みたいにコンパクトになっているのに、冷却装置だけ当時のサイズのままばかデカいとゆー、やっぱり間抜けかな?

●監督:福田純 ●特技監督円谷英二