魍魎の匣
私的評価★★★★★★★☆☆☆
(2007日本)
昨年末スクリーンで見たのですが、DVDで再度観賞し直してみて、一応評価を上げておきます。
やっぱり戦後の東京にしては、大陸的に広すぎる、とか、やっぱり黒木さんの演技と声質は好きになれない、とか、グロい映像を見せるためのBGMの盛り上げ方で相変わらず肩が凝ってしかたがない、とか、いろいろ気に入らない点は変わらないのですが、京極夏彦さんの作品は、やはり何回か見直さないとストーリーが十分に理解できないのだな、と感じ、その点では繰り返しの観賞には耐えうるレベルの作品だな、ということで評価を上げた次第です。ストーリーの方も、けっこうよく練られているように感じたのは、2回目の観賞でディテールが見えてきたからでしょう。
見直してみて、美馬坂の研究所でのクライマックスの前までは、案外面白かったかな、と。クライマックスは、相変わらず見ていて、直前の衝撃的なシーンで受けた肩のコリが取れる間もなく却って増幅していく展開だな、と。そんな印象。相変わらずミステリーの持つドキドキ感は、微妙でした。それ以外の要素で血圧が上がるような作品ですから。
やっぱり関口巽は永瀬正敏さんの方が良かった気がします。椎名桔平さんは好きな俳優さんではありますが、原作を知る者にはキャラが違いすぎる印象が、どうしてもあってね。
ラストも、やはり…声だけでブラックアウトで良かったような気がしてなりません。ただ、それでは匣の中身が何なのか、原作を知らない人には分からないですね。難しいところだな。