一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

「十三通目の手紙」

私的評価★★★★★★★☆☆☆

十三通目の手紙 完全版 [DVD]

 (2003日本)

 ジャズバー“バードランド”に集まった常連客たち13人は、マスター・久保の書いた“苦い蜜”という推理小説の新人賞受賞の知らせを待ち、にぎわっていました。そこへ、探偵の三陰と名乗る男が現れ、1年前の事件の話を聴かせて欲しいと言ってきたのです。1年前、バードランドの開店祝いの席で、社長の鈴木がコレクションしていたジャズの名盤14枚のうちの1枚が盗まれ、柚木という男が持っていたことから犯人として疑われたのでした。その後柚木は事故で亡くなり、誰も彼のことなど思い出そうともしていませんでした。三陰は柚木の疑いを晴らすため、真実が知りたいのだといいます。事件の真相はディスプレイされた14枚のレコード盤とそれに添えられていた14通の手紙、そしてマスターが書いた小説のプロローグに隠されていたのでした。居合わせた14人の男女の会話から、さまざまな事実が浮かび上がっていきますが、柚木の疑いは晴れるのでしょうか?


 元々舞台劇のようです。セリフ回しも舞台じみてるな、と感じられる部分が多くありました。それにしても、見事に俳優さん女優さんの名前が分かりませんでした。分かったのは、ウルトラセブン森次晃嗣さん)とウルトラマンタロウ篠田三郎さん)だけでした。顔は見たことあるという方は何人かいらっしゃいましたが、主な出演作を見てもピンと来ませんでした。ま、その分、役者としてはうまい方を揃えたというところなのでしょう。

 ストーリーは、推理小説的にはぬるいと思います。そうじゃないと思って見た方がイイかも知れません。いや、純粋に舞台で楽しんだ方がよかったのかも知れませんが、この映画はこれで、まぁ、ありかなと。密室劇の中で会話の内容を楽しむ、そういう作品です。ひとりが語り、誰かが呼応し、次々と新たな事実が飛び出す。いったい誰が何を知っているのか、見ていてドキドキさせられる部分もあります。しかし、どうなんでしょう? 2回目の観賞に耐えられるお話なんでしょうか? この辺は、ちょっと微妙です。雰囲気だけで押していけるものかどうか…。しかし、マスター・久保の小説のプロローグのお話は、なかなかグッときます。このエピソードがしっかりと物語を支えている気がするので、もしかしたら、しばらくしてまた見るかも知れません(見ないかも知れませんが…)。とりあえず、初見の感想は星7つイッときます。

●監督:亀田幸則