一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

真夜中の招待状

私的評価★★★★★★★★☆☆

あの頃映画 「真夜中の招待状」 [DVD]

 (1981日本)

 稲川圭子(小林麻美さん)が、神経科医の会沢(高橋悦史さん)を訪ねました。フィアンセの田村樹生(小林薫さん)の実の兄3人が理由もなく次々と失踪したせいで、樹生がノイローゼ気味になってしまったため、相談に来たのです。熊本で薬局を営む長兄の順吉が7年前に、そして3男で沼津の捷平が2ヶ月前、次兄で東海村の和生(渡瀬恒彦さん)が先月、それぞれ失踪していました。会沢は治療のため、毎晩夢に見たことをメモするよう、樹生に指示し、一方で、圭子と失踪した3人の兄の家族を訪ねて、東海村、沼津、熊本へ飛び立ちます。そして樹生と特に親しかった和生が、失踪する直前に繰り返し同じ夢を見ていたことが分かりました。夢は「電車に乗って長いトンネルを抜け、断崖絶壁を見下ろし、再びトンネルを抜けると、左手に城跡が見える」というものでした。治療を続けるうち、樹生は3人の兄たちが“11日”という特定の日に失踪しており、自分も4日後の9月11日に失踪する、と言い始めました。圭子は樹生のアパートに泊まり込み、9月11日まで一緒に過ごすことを決めました。しかし、9月11日、樹生も失踪してしまったのです。


 と、ここまでのドラマは、ヒッチコックばりに、すばらしくサスペンスに満ちた謎を提供してくれるのですが、いかんせん、このあとの解決編が“ふぅ〜ん?”と、ちょっと演出にパンチ不足を感じてしまいました。謎解き自体は良かったんですよ。ただ、見せ方のシーケンスが、ちょっとね。事件の解決も横溝正史ばりに破滅的な方向に行くでもなく、なんか、ちょっと消化不良気味かなぁ。一番気に入らなかったのは、和生の失踪の原因と結果です。警察の所見だけでは、“裏があるに違いない”とふつう、思うじゃないですか。まんまだったのには呆れました。ストーリー的にまったく匂わせていないに近い(映像的には、あ、このシーンが伏線か、と思えるシーンはありますが…)話を、最後に会沢の説明だけで済ますなんて、納得いかんなぁ。謎でもなんでもなかったんやん。

 主役の小林麻美さんは、ため息出るほどキレイでした。画面いっぱいのアップが何度も出てきますし、少しけだるい雰囲気の表情なんかも見せていて、大人の色気を感じさせてくれます。何気に濡れ場もあります。微妙にどーでもイイですけど、美しい貧乳も拝めます。どーせなら共演の鹿沼えりさんの美乳が見たかった(日活ロマンポルノの人気女優さんでした。雑誌でしか見たことないけど。故・古尾谷正人さんの妻だったりします)ところですが、そーゆー映画ではないので^^;)

 最後に、会沢が指を組むシーン、それを見て圭子が立ち去るんですけど、意味がよく理解できませんでした。序盤で会沢が、「指を組むとき右手の親指が上に重なるように組む人は、非常に疲労しているか、老化が始まったりしている兆候」みたいな説明を圭子に向かってしているんです。会沢はまさに右手の親指で左手の親指を押さえるように組んでいるんですけど、それを見た圭子は何を感じたのでしょうか? 意味ありげにカメラが最後に組んだ手にパンして終わるので、気になるんですけど、意味不明。誰か説明できる人、教えてちょ。

 本編の中で、短い映像を見せるシーンがあります。サブリミナル効果を狙った映像で、2コマのタバコを喫う映像が挿入されています。DVDのメニュー画面にも、同じような1コマの映像の挿入があります。こういう映像を提供すること自体、大丈夫なんですかね? テレビでは禁止事項か自粛事項か知りませんが、こういう映像を流さないことになっていると思うんですけど…。説明付きだし、あからさまに分かっているからイイのか?

●監督:野村芳太郎 ●原作:遠藤周作(小説「闇の呼ぶ声」)