一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

拳銃無頼帖 不敵に笑う男

私的評価★★★★★★☆☆☆☆

拳銃無頼帖 不敵に笑う男
拳銃無頼帖 不敵に笑う男 [DVD]

 (1960日本)

 かつて早射ちの竜と呼ばれた男(赤木圭一郎さん)が、恋人の佐伯ユリと堅気の暮らしを送るため、2年の刑期を終えて、金沢に戻ってきました。ところが、ユリは1年前に事故で亡くなっており、妹の博子(笹森礼子さん)は、竜のせいで亡くなったも同然だと竜をなじりました。金沢の町では、かつて竜が身を寄せていた船場組と、抗争相手の浜田組が縄張りを争い、対立を続けていました。竜には妹の則子(吉永小百合さん)が金沢におり、かつての弟分だった五郎(青山恭二さん)と婚約していました。五郎は船場組から足を洗い、靴磨きをしていましたが、船場組の源(鹿島貞夫さん)や鉄(深江章喜さん)に嫌がらせを繰り返されていたのです。船場(二本柳寛さん)は竜に、時価4000万円の盗品のダイヤを浜田(藤村有弘さん)に2000万円で売る取引の立会いを依頼します。竜はいったんは断りますが、博子が船場に30万円の借金をしていて、その形に体を要求していたことを知り、博子の借金を帳消しにすることと、五郎にちょっかいを出さないことを条件に、取引の立会いを引き受けました。一方、竜に撃たれたため右腕を失った浜田組の相原(山田禅二さん)が、子分を引き連れて竜の命をを狙いますが、突然現れたコルトの謙(宍戸錠さん)が助け舟を出し、竜は命拾いをします。実は謙は、浜田にダイヤの鑑定を頼まれた殺し屋で、竜の拳銃の腕に惚れ込み、竜に一対一の対決を求めて来たのでした。ところが、ふたりの対決の前に、船場と浜田が手を組んで、ダイヤの取引の場で、竜の命を狙うことを密約していたのです…。


 銃を手にしても決して人を殺さない早射ちの竜という設定が、ちょっとヌルい感じもしますが、汚れ役は一切合財、コルトの謙が引き受けてしまうので、こういうアクション映画もありかな、と。

 かつての恋人は、どうもヤクザ者の手に落ちて殺されたらしい。その妹も借金の形に体を強請られている。自分の妹は、かつての弟分と堅気の生活を目指しているものの、その弟分がやはり嫌がらせを受けている。そして、自分自身、誰も殺していないのに、命を狙われている。と、狡猾なヤクザの論理に翻弄される主人公たちの運命やいかに、というところですが、最後に竜と博子がふつうに幸せになれそうな雰囲気で終わるハッピーエンドで、ホッとしますね。

 ストーリーは相変わらず宍戸錠さんがライバルとして登場し、主人公の竜に対決を挑むのに、なぜか主人公を助ける役回りを演じることになります。これが憎めない役柄で、案外カッコいいんですが、当時は赤木さんの方が人気があったんでしょうねぇ。ボクは錠さんの方が好きですけど。

 クライマックスで能登の祭りのシーンが出て来ますが、10数メートルもある長い幟をはためかせて沖を連ねる漁船の列が、壮観です。

●監督:野口博志