トリック2 超完全版3
私的評価★★★★★★★★☆☆
(2002日本)
自称美人で天才的なマジシャン・山田奈緒子(仲間由紀恵さん)と自称天才物理学者で日本科学技術大学教授の上田次郎(阿部寛さん)が、死者の残した意識の痕跡を追いかける“サイ・トレーリング”の能力を持つ深見博昭(佐野史郎さん)に導かれ、連続失踪事件で消えた女性の死体を次々と掘り当てる---果たして深見の能力はホンモノなのか、そして連続快楽殺人の犯人は誰なのか。
シーズン1では、奈緒子の父(岡田眞澄さん)の死のカギを握る人物が次々と登場して超常現象的事件を起こすため、どうしても各話の最後は少し暗い影を落としつつ次回に続く…というパターンでした。が、シーズン1の最後で父の死に対するケリをつけると、シーズン2ではしがらみが完全に吹っ切れて、奈緒子と上田の掛け合い漫才の間にストーリーが進み、奈緒子も上田も妙に事件解決に冴えた推理を披露するという見事な予定調和的ストーリー展開が、毎回心地よく楽しめるようになりました。
結局シーズン2のあと劇場版、そして木曜ゴールデンでシーズン3まで続いたシリーズですが、本作はその中でも最高傑作なんではないか、と、勝手に思っています。
その評価の一番の要因は、脚本・太田愛さんなのです。平成ウルトラマン・シリーズのウルトラマンダイナで30分足らずの特撮ドラマの中に、すばらしく詩的なグッとくるエピソードを披露してくれた彼女の脚本は、いつも心の琴線を振るわせてくれる佳作揃いなのです。トリック・シリーズの中でも本作の脚本は、ちょっぴり色合いが違って見えました。特に事件の顛末がすべて明かされたあと、パトカーを見送る上田と奈緒子の短い会話の中に、太田さんのグッとくるマジックがしっかり仕込んであったように思います。グッときて、ほろりとさせられましたよ。
トリックのネタの中には、けっこう無理無理で、実は破綻していると思われるようなモノもありますが、あまり気にしてはイケません。それ以上に、ドラマ部分がステキです。大目に見てください。
あと、ボクはまったく分かりませんが、堤組のテレビドラマのいろんな作品のパロディが仕込まれているそうです。堤組大好きな方は、そのへんもお楽しみください。
●監督:木村ひさし ●脚本:太田愛
《ボクはBOXセットを買いました》
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2002/06/21
- メディア: DVD