一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

電車男

私的評価★★★★★★★★★☆

電車男 スペシャル・エディション [DVD]

 (2005日本)

 アニメおたくでゲームおたくの22歳の男(山田孝之さん)が、電車の中で酔っ払いに絡まれた女性(中谷美紀さん)を助けたことから芽生えた恋を、電車男のハンドル・ネームでネットの掲示板に書き込んだことから、たくさんのネット・ユーザーたちが真剣なアドヴァイスと熱い応援のメッセージを書き込み、それを励みに彼が彼女=エルメスとの恋を成就させようと奮闘するラヴ・ロマンスです。


 キタ――――――――(゚∀゚)――――――――!!!!! って入れとかないとイケませんかね? 実はDVD買う気なかったんですが、弟にそそのかされて買ってしまいました。そして、不覚にも、涙ダダ漏れで見てしまいました。めちゃくちゃ良かったです。

 まず、BGMがいいなぁと思いました。アコースティックなギターやピアノ、オーボエなんかの管楽器のメロディで、恋のせつない気分や楽しい気分をしっかり盛り上げてくれています。

 ビジュアルでは、電車男掲示板に書き込んでいるとき、つながっている複数のネット仲間たちが画面分割で同時に出てくる映像が、掲示板のリアルタイムな雰囲気をうまく映像化していると思いました。初めてエルメスから携帯に電話がかかって、画面のネット仲間たちがいっせいに盛り上がるシーンで、思わずテンションがシンクロしてしまいました。この演出、大成功です。

 この、ネット上だけの仲間たち、おもしろいですよね。仕事が忙しいサラリーマンひさし(佐々木蔵之介さん)と倦怠期の専業主婦みちこ(木村多江さん)の、妙に恋愛ツウぶりな書き込み。フラレた彼氏の写真を見つめる看護師りか(国仲涼子さん)は、冷静だけどとても温かい励ましを丁寧に書き込みます。うさぎを部屋で飼う引きこもり男ひろふみ(瑛太さん)は、冷静な分析と冷めたツッコミで応援。そして、こんなヤツらおるんか、というようなヘタレのミリタリーおたく3人、よしが(岡田義徳さん)、たむら(三宅弘城さん)、むとう(坂本真さん)は、電車男を羨みながらも真剣に“仲間”の成功を祈って、応援している感じです。

 ストーリーはかなりトントン拍子でことが運ぶんで、「このまま障害なしにスンナリいってしまうのか?」と疑ってしまいますが、ちゃんとせつなげなエピソードで電車男に試練を与えてくれます。すっごく共感してしまうんですよね。「いつかダメになるんじゃないか」って思ってしまう心の弱さ。そして、一度はあきらめてしまおうとする電車男を励まし、「忘れるな、おまえには俺たちがついている」と書き込んでくれる見ず知らずのネット仲間たちの声援に、どわぁ〜っと熱いモノが込み上げてきてしまうのです。

 山田孝之くんのヲタクって、どうなんかなって思ってたんですが、うまいですねぇ。緊張して呂律が回らなくなるような喋り方、ひきつる頬や口元、怯えるような目元、待ち合わせのときの情けない表情…ま、最後のほうになると、落ち着いて普通に喋ってしまうようになるのが、ちょっとだけ違和感覚えてしまうんですが、そのへんは目をつむりましょう。

 最後に、テレビ版がお気に入りで、「電車男エルメスが主役だ」と言ってはばからない弟に一言。テレビ版の伊東美咲さんのエルメスは、イマドキの女の子って感じで、なおかつちょっとお高めに見えるところに、近寄りがたさを覚えました。一方、本作の中谷美紀さんのエルメスは、ボク的には、かなり萌えでした。いいところのお嬢さんだけど、性格がとても素直で良さそうに見え、その滲み出るやさしさに親近感さえ覚えました。こんな女性なら、恋愛してみたいと思いました。けっこうドギツいキャラも平気でこなす中谷さんですが、役者としての懐の深さを見せていただきました。ホント、萌え〜です。

 電車男なんて…ってバカにしてましたけど、この映画で愛と勇気と希望を持てました。満足度高かったです。

●監督:村上正典 ●原作:中野独人(小説「電車男」) ●脚本:金子ありさ