一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

交渉人 真下正義

私的評価★★★★★★★★☆☆

交渉人 真下正義 プレミアム・エディション (初回限定生産) [DVD]

 (2005日本)

 2003年11月24日、レインボーブリッジを封鎖し「台場連続殺人事件」が解決した夜、警視庁初のネゴシエーター(交渉人)真下正義警視(ユースケ・サンタマリアさん)は、報道陣に囲まれて、事件解決の経緯を語っていました。それから1年後の2004年12月24日、東京トランスポーテーション・レールウェイ(TTR)の運営する地下鉄で、最新鋭のフリーゲージ・トレイン“クモE4-600(通称クモ)”が何者かに遠隔操作で乗っ取られ、クリスマス・イブに地下鉄を利用する200万人の乗降客の命が脅かされる事態が発生します。犯人は警視庁のサイトをハッキングし、警視庁交渉課準備室の真下課長に挑戦状を突きつけてきました。真下は湾岸署の柏木雪乃刑事(水野美紀さん)と新宿でデートする約束を交わしていましたが、必死に携帯電話で遅れそうになることを詫びながら、地下にあるTTRの司令室に向かいます。真下がTTR司令室に到着すると、クモが再び動き出したことがモニタに表示され、猛スピードで地下鉄の客車を追い回し始めました。そしてTTR司令室に犯人から最初の電話がかかり、真下はクモのスピードを緩めるよう犯人に持ちかけます。一方地上では、木島丈一郎刑事(寺島進さん)が、無線で真下を叱咤しながら犯人の足取りを追っていました。木島は、犯人が警視庁のサイトに予告してきた公園の爆弾が爆発したことから、犯人はあと2回爆弾を使うだろうと捜査員や真下に告げます。


 真下正義は、テレビ・シリーズでは完全にお笑いキャラだったワケですが、本作ではかなりカッコいい役です。外伝とはいえ、どーせ“踊る大捜査線”シリーズだからとナメていたら、笑わせどころはかなり小出しの小ネタに抑えて、本格的サスペンス映画になっていたので驚きました。

 地下鉄乗客のパニックやクリスマスの東京の混雑した道の様子など、本作は緊迫した画がぎっしり詰まっています。犯人が仕掛けるゲームと、それに乗った振りをして交渉の主導権を握ろうとする真下の息詰まるネゴ、細部を突付けば興醒めするネタも出てきますが、それ以上に展開の面白さが勝って、グイグイ引きこまれてしまいました。

 ともすれば犯人と真下の交渉劇が粛々と進んでいってしまいそうですが、木島刑事がテンション高く怒鳴り散らしながら現場を駆け巡る様子が挿入されて、話のメリハリをつけています。木島刑事はキャラが立ちすぎて映画だけではもったいなかったのか、テレビのスペシャル番組で主役に抜擢されています。

 ラヴェルボレロの演奏が始まり、クライマックスに向かうところからは、手に汗握りっ放しで、分かっていても、満足度の高い展開でハラハラし通しでした。クリスマスのクラシック・コンサートを組み込んだ演出は、なかなか見事です。雰囲気盛り上げるのにかなり役立ってました。

 犯人の車が登場するシーンに、妙にカラスがまとわりつくのが気になるなぁと思っていたら、地下駐車場にまでカラスが登場してきて、いよいよありえないな、と思い、ついには犯人が…ネタバレすれすれで自主規制します。う〜ん、ホラー映画テイスト?

 松重豊さん扮する爆発物処理班が久々に登場してきて、ちょっとニンマリしました。やっぱり群像劇は、こういったシリーズ登場人物の使い回しに出くわすと、ファンとしては嬉しくなりますよね。

 DVDは廉価版のスタンダード・エディションを予約してたんですが、12月10日放送の「逃亡者 木島丈一郎」の本編が、プレミアム・エディションの特典ディスクの3枚目につくことが放送直後に分かり、慌てて予約をキャンセルし、プレミアム・エディションを購入することにしました。困るなぁ、こーゆー売り方。高い買い物だったけど、買っちゃったじゃないのぉ。

●監督:本広克行