一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ニュー・シネマ・パラダイス(Nuovo Cinema Paradiso)

私的評価★★★★★★★★★★

ニュー・シネマ・パラダイス 15周年メモリアル・コレクション [DVD]

 (1989イタリア/フランス)

 邦画劇場の締め括りが“洋画”でイイのか、ちょっと迷いましたが、今日はコレしかまともに見ていませんので…それに、一番好きな洋画でもあるし、ま、イイかな、と。

 今日は、正月のおせち料理を煮込みながら、スカパー!でやってたのを見ました。2時間の日本/アメリカ公開版の方です。3時間のオリジナル版は、正直なところまったく別な作品といった印象で、ちょっと観ていて疲れます。どちらもDVD初版を持っていたのですが、“15周年メモリアル・コレクション”が発売されるに当たって、買い替えました。写真のとおり、映画フィルムを収納する缶のようなパッケージが付いていて、ちょっとマニアック。実は収納に困ってしまうのです。

 有名なエンニオ・モリコーネのテーマ曲が流れてくると、パブロフの犬状態で自然と涙が溢れるようになっているボクとしては、料理の合間にボサーッと観てたんですが、あっちこっちで涙がにじんで仕方なかったですね。

 ローマで成功した映画監督のトト・サルヴァトーレの回想から映画は入ってきます。子供時代を過ごしたシチリアの小さな街で唯一の娯楽、パラダイス座の映画が好きで好きでたまらない少年トト。子役のサルヴァトーレ・カシオは、当時8歳で地元の少年たちの中からオーディションで選ばれたらしいですが、この子が実に素晴らしい演技を見せてくれています。もう、彼と、彼を取り巻く大人たちのやりとりを見ているだけで、胸がキュンとなってしまいます。そして彼が憧れる街の映写技師アルフレード。こちらも、フランス人のフィリップ・ノワレという素晴らしい役者さんが演じています。

 この2人の交流を軸に、第2次大戦後のイタリアの貧しい片田舎の映画好きな人々の暮らしぶりなどが絡み合い、ストーリーはトトの青春時代、そしてすれ違って失った初恋の模様を織り交ぜ、『ローマに出て好きな道を歩め』とトトに勧めたアルフレードの訃報を受けて30年ぶりに帰省するところで、トトの“現在”に戻ってきます。

 ラストは映画史に語られる感動のシーンで、もう涙が自然に溢れてしかたありません。失われた人生の一コマと映画のワンシーンを対比させるような、素晴らしい演出です。ここだけは鍋の火を止めて、じっくり鑑賞してしまいました。やはり、素晴らしい映画です。

 『映画ってイイな』と、素直に思える作品です。すっと泣きたいときにはイイ映画だと思います。ぜひ、見てみほ。

●監督・脚本:Giuseppe Tornatore ジュゼッペ・トルナトーレ ●音楽:Ennio Morricone エンニオ・モリコーネ