一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

スウィングガールズ

私的評価★★★★★★★★★★

スウィングガールズ プレミアム・エディション [DVD]

 (2004日本)

 山形のとある高校、女子生徒たちが、夏休みの補習クラスを受けていました。蒸し暑さで数学教師・小澤(竹中直人さん)の授業に身が入らない生徒たちは、お菓子を食べたり、デジカメでポートレートを撮ったり。校庭に集う吹奏楽部が、バスで野球部の応援に向かうところをぼんやりと見ていた鈴木友子(上野樹里さん)は、バスに間に合わず途方に暮れる弁当屋を見つけ、球場に弁当を運ぶ手助けをすることで補習をサボることを思いつき、小沢に提案します。そして、女生徒たちは電車で球場に向かいますが、一駅寝過ごしたことから炎天下、歩いて球場に行くことになりました。やがて球場に到着し、配られた弁当を食べた吹奏楽部の面々が、次々とトイレに駆け込む事態が発生します。ひとり弁当を食べそびれて難を逃れた中村拓雄(平岡祐太さん)は、野球部の次の試合に向けて即席の楽団を組織するため、補習クラスの生徒たちを集めました。ところが、彼女たちはロクに楽器を持ったこともない上、補習をサボる口実に中村の提案を受入れたので、さっぱりヤル気がありません。人数的にも吹奏楽団にはほど遠い17人しか集まらなかったため、中村はジャズのビッグ・バンドをやることを提案しますが…。


 家族で鑑賞しました。矢口史靖監督は前作の“ウォーターボーイズ”も家族で鑑賞したのですが、本作の方が両親にはウケが良かったようです。ヤル気のない高校生が、一念発起して何かに打ち込み、最後に晴れ舞台を披露するというストーリーの骨子は基本的に同じなんですが、ビッグ・バンド・ジャズの演奏の迫力が勝ったようです。実際、ボクも演奏の途中で手拍子したくなり、足でリズムを刻んでいました。ウォーターボーイズもそうですが、吹き替えなしのガチンコの晴れ舞台をクライマックスに持ってくる手法は、真実が持つ迫力でグイグイと観る者を惹きつけます。

 演奏では、ピアノ・中村、テナーサックス・友子に加え、トランペット・斉藤良江(貫地谷しほりさん)、ドラムス・田中直美(豊島由佳梨さん)、トロンボーン・関口香織(本仮屋ユイカさん)、ベース・山本由香水田芙美子さん)、ギター・渡辺弘美(関根香菜さん)の7人で再開したバンドに、他の補習クラスの面々が戻ってくるエピソードのときに演った“Make Her Mine”が最高にカッコよかったです。ポップなテンポに乗っかって、上野樹里さんが、実に楽しそうに演奏しているのが良かったですし、メンバーが楽器を揃えて後半から加わると音の厚みが増して、一層カッコよさが引き立って、ホント、実にシャレたターニング・ポイントでした。

 クライマックスの“Sing Sing Sing”は、両親の世代には涙モンといえるスタンダード・ナンバーです。主要メンバーのソロが入るなど、本当に最高の見せ場になっていました。音的にもかなり迫力ある録音でしたし、まさにスウィングしなきゃ、って感じに、心躍らされる演奏でした。ウマいヘタなんて、この際関係ないです。ノリがすべて!

 きっと見終わったあと、知らず知らずのうちに体がリズムを刻んでスウィングしている自分に気づくことでしょう! そんな心躍らされた喜びに、満点!!
 
●監督・脚本:矢口史靖