私立探偵 濱マイク 2 前田良輔監督「歌姫」
私的評価★★★★★★★★☆☆
(2002日本)
マイク(永瀬正敏さん)が、ショーパブのトイレで酔っ払いにからまれる掃除のおばちゃんを助けました。彼女はかつて人気を博した歌姫・ナオミ(UAさん)で、マイクに「自分が歌を唄えなくなった理由を探して欲しい」と依頼します。手がかりとして渡された写真の男を捜すうち、マイクは彼女が過去の殺人事件にかかわっているらしいことを知りますが…。
写真の男は…“咲坂守”でワン・ツー・スリー!? 小林克也さんは出演しませんが、畠山桃内(伊武雅刀さん)、桑原茂一さんが登場して、スネークマンショーの一節を口ずさみながら、ふざけてンのかマジなのか、シビアなストーリーの合間にちょっとニンマリさせられてまいます。
憂歌団の木村充輝さんが、橋のたもとの焼きそば屋のオヤジやってます。ストーリーのキーマンのひとりだったりします。いつも酔ってるようなとこしか見たことないんですけど、本作では酔ってないと思います、たぶん…^^;)。
なんか、迷路を巡るマイクとともに、霧に包まれた荒野に佇む歌姫、映像のイメージが先行してストーリーはどーってことない話なんだけどね。なんとなく、「アーティストってのは、自分の中の嘘臭さを乗り越えようと、もがいてるモンなのかな」、なんて思ったりして。「いや、これは嘘じゃない、私の真実なんだ!」と叫びながら、一線を越えてしまおうとする、だからアーティスト、凡人とはそこが違うんだよ、と。ま、そうなのかも知れないけど、だとしたら、今の世の中には、嘘に塗れた似非アーティストがごまんと溢れちまってるよなぁ。ボクはアーティストの狂気に触れる勇気を失ってしまったので、今の嘘臭い世の中の方が、生きやすいようですけど…。
そんな小理屈、どーでもいいんですけど、クライマックスのライブの落とし前、胸にズンときますよ。青臭い小理屈を嘘臭い屁理屈で蹴散らしながら、世の中を守っている人々がいるという現実…やるせないような、なんとも名状しがたい感慨が込み上げてきます。
●監督:前田良輔 ●原作:林海象