一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

Midnight Comedy Theater「温泉タマゴ」~湯けむり奇談~

私的評価★★★★★★★☆☆☆

Midnight Comedy Theater「温泉タマゴ」~湯けむり奇談~ [DVD]

 (2004日本)

 神奈川の温泉旅館を舞台に、実写1話目−3Dアニメ前編−実写2話目−3Dアニメ後編の連作で構成される短編映画です。

 3Dアニメはワケ合って前後編ですが、まぁ、試みとしては面白かったかな? 内容はそれほど大したこたぁありません。

 実写は特に、1話目の『背流しユーナ』が、良かったですねぇ。


 主義として売れる本を書こうとしない小説家の鈴鳴(近藤芳正さん)が、創作活動のために滞在していた温泉宿に、背流しアンドロイドのユーナ(榎本温子さん)が、『お試し用』として貸し出されてきました。露天風呂に待機するユーナは、首筋のコイン投入口から100円を入れると、3分間背中を流してくれます。その販売価格は1億円! 鈴鳴は、フツーの若い女性と同じように会話するユーナに恋心をいだいてしまい、志に反して“売れる小説”を書いて、印税でユーナを買い取ることを決意しますが…。


 最初はフツーに笑って見てたんです。背流しアンドロイドになる前は自動改札だったとか、ユーナが語る小ネタが、なかなかくすぐってくれまして…^o^)。やがて予想通りの破局が訪れ、そこまではどーってことなかったんですが、あくまでコメディとして最後までけじめをつけたエンディングが、なぜかとても良くって、不覚にもホロリとさせられてしまったのです。雰囲気的には、火浦功さんの、『どこまでまじめなんだか分からないSFコメディ調』といったところでしょうか。あくまでコメディとしてけじめをつけたエンディングの演出は、役者さんのキャラの立ち方とともに、けっこう衝撃(笑撃!?)を受けますよ。二度と取り戻すことが叶わない、失ったモノに対する切ない思いと、生まれ変わった命に対する、くすぐったいような愛しさ。そんな佳作です。




 実写2話目の『美子の第6感』もそれなりに良かったんですが、これもノリとしては、火浦功さんの小説っぽいかな?


 彼氏と初めてふたりだけの旅行で温泉旅館にやってきた美子(野川さくらさん)は、幽霊が見えてしまう特異な体質でした。そして、ふたりが案内された部屋には、麻雀に興じる5人のヤクザの幽霊が居座っていて…。


 まぁ、なんで成仏してなかったのか、というオチはなるほどとは思いましたが、坊さんの祈祷のバカバカしさはちょっとイヤらしかったです。




 第1話の冒頭、近藤さんが女将役の山口美也子さんと交わす会話が妙に聞き取りづらいなぁ、と思っていたのですが、そこへ持ってきて榎本温子さんの第一声が、あまりに明瞭だったのには、かなり違和感覚えました。ま、聞いた瞬間、『アニメ声』と分かる喋り方だったワケで、映像を見なかったら、まんまアニメです。榎本温子さんも野川さくらさんも声優さんのようですね。AMAZONのレビューには、声優界のトップアイドルと書いてありましたが、興味の薄い世界なので、まったく知らない方たちでした。あんまり素っ気ないのも何なので、一応榎本さんの方が好みかな…と。

●監督:角住隆夫(背流しユーナ)、増田龍治(美子の第6感)、鈴木大介(温泉小町ドキッ)